研究課題/領域番号 |
20K11547
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
北村 直也 川崎医科大学, 医学部, 特任研究員 (40747101)
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研究分担者 |
高橋 優 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40551049)
石原 武士 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60335594)
上野 浩司 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (60725068)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢化 / 行動 / マウス / 活動性 |
研究実績の概要 |
ヒトをはじめ多くの動物は高齢化に伴い意欲が低下していくことが多いが,なぜ低下するのかは不明な点が多い。世界的にヒトの高齢者の割合は増加傾向にある。意欲低下による経済的損失,社会的損失への対策は急務であり,意欲低下の原因解明,および予防方法・治療方法の開発を早急に進めていく必要がある。本研究では老齢マウス(1年齢)が成熟マウス(2ヵ月齢)と比較してどのような行動変化があるのかを明らかにすると同時に,老齢マウスの活動を向上させる因子の検討を行っている。幅広い環境因子のうち,古来より脳機能へ効果があると考えられている柑橘類の香気成分のうちnonanal,1-octanal,menthoneが老齢マウスの活動量や認知機能などに与える用いて明らかにすることを主な目的とした。補完代替医療の一種であるアロマセラピーで使用されるエッセンシャルオイル等における香り分子は生理的作用を持つと考えられている。エッセンシャルオイルは、吸入によって嗅覚および呼吸器系に吸収されるか,経皮的に体内に取り込まれると考えられている。吸入によって,嗅覚系から脳に信号を伝達し、脳はセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質を分泌することによって不安,鬱病,および気分障害を調節することが示唆されている。nonanal,1-octanal,menthoneのうちnonanalは成熟マウスの表面温度を低下させ,生体への何らかの影響が示唆された。しかしながら,老齢マウスでは表面温度の変化はみられなかった。引き続き,柑橘類系の香り成分が老齢マウスの行動に与える影響を調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度に実施予定であったマウスの行動実験に向けてマウスを飼育し,1年齢以上の高齢マウスとなった。令和3年度後半には当初の予定であった各種の行動実験(Y迷路や受動回避試験など)を実施できた。解析も順調に進めており,令和4年度には行動実験の結果をまとめ,学会発表や論文発表を計画している。研究分担者間と打ち合わせもしつつ,追加の実験が必要かなどを進めている。
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今後の研究の推進方策 |
■意欲の低下を軽減させる環境因子の探索 (担当:北村,髙橋,上野)→「食事の刺激,性的刺激,運動刺激,新規環境刺激」を慢性的に与え,高齢化による意欲の低下が軽減するか解析する。 ■総括と成果発表 (担当:北村,石原,上野)→追加実験も終了し,今までの臨床データに関する報告と関連性を分析する。データをまとめ,国際学会に発表,さらには英語論文として海外雑誌に報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定だった老齢マウス(約2万円/匹)の購入ではなく,1年ほど前から飼育していたマウスが老齢マウスである1年齢に達したため,購入することなくサンプルが使用出来たため。さらには,コロナウイルス感染症拡大のため思ったように学会発表に行けず,予定使用額が下回っている。いろいろと検討を重ね,当初の研究計画をずらし本年度に行動実験装置の購入やホルモン測定キットの購入に予算を充てて本格的に実験を行う予定である。
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備考 |
研究代表者(北村)https://researchmap.jp/7000027709 研究分担者(上野)https://researchmap.jp/hiroshiueno/
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