ミトコンドリア異常を有するマウス(Ndufs4 KO)において、広い濃度の乳酸の経口投与で健康寿命が延びた。種々の属種の乳酸菌株の投与でも健康寿命が延びた。神経炎症が乳酸、乳酸菌のいずれでも軽減した。乳酸により解糖系が阻害され、呼吸が亢進する現象が、多くの細胞で一般的にみられることを見つけた。ミトコンドリア病原因遺伝子変異を有する疾患iPS細胞株をNdufs4 KOも含め複数株作製し、分化誘導した複数の細胞種において、乳酸による呼吸能向上と機能改善が共通して見られた。本研究において、ミトコンドリア異常を補完する方法として、微生物やその代謝物の経口投与が有効であるという新たな可能性を提示した。
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