循環器内科にて入院治療を受けた心不全患者20例を対象とし、炎症性サイトカインであるTNF-α、IL-6や、アルブミンなどの栄養指標と心不全の重症度について解析した。また心不全重症度と、プロカルシトニン、エンドトキシンとの関連についても解析した。心不全の重症度の指標として、血清脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)値、左室駆出率(EF)を用いた。 その結果、血清BNP値と血清CRP、TNF-αとは正の相関、Albとは負の相関傾向がみられたが、いずれも有意ではなかった。BNP200をカットオフにして、BNP≧200(BNP高値群)とBNP>200(BNP低値群)の2群に分けて比較したところ、BNP高値群では、血清TNF-αレベル、IL-6レベルが高値の傾向がみられたが、有意差は認めなかった。EFと血清エンドトキシンとは負の相関傾向がみられたが有意ではなかった。他の項目とは一定の傾向を認めなかった。EF≦50%(EF低値群)とEF>50%(EF高値群)とで炎症マーカーを比較したところ、EF低値群では、EF高値群に比べて、血清のエンドトキシンレベルが高く、血清TNF-αレベル、IL-6レベルが高値の傾向があったが、有意差は認めなかった。 今回の解析では、心不全の重症度と炎症指標、エンドトキシンやプロカルシトニンとの間に有意な関連は認めなかった。 心不全の重症度や栄養状態と腸内細菌叢との関連については、解析を進めているところである。
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