研究課題
慢性腎臓病における連続座位行動(連続した座位行動バウト)の意義を明らかにするために以下の検討を行った。A病院外来通院中の慢性血液透析患者198名のうち、連続した座位行動バウトの測定が行え、書面による同意の得られた104名(男性59名、女性45名、71.4±11.4歳)を対象とした。コホート調査で非透析日における連続した座位行動バウトの指標と生命予後との関連を検討した。連続した座位行動バウトは3軸加速度計を用いて計測し、指標として30分及び60分の連続した座位行動バウトの時間(分)、%、バウト数を用いて評価した。追跡期間中に35名の死亡(肺炎6名、悪性疾患3名、敗血症3名、脳梗塞2名等)を認めた。非透析日における連続した座位行動バウトの指標の多寡により生存分析(カプランマイヤー法)をもちいて2群間で比較したところ、連続した座位行動バウトの指標の高値群は、低値群に比較して、有意に生命予後が悪かった。さらにコックス比例ハザードモデルを用いて、年齢、性別、糖尿病歴、体格指数、透析歴、血清アルブミン値、高血圧の既往、腰痛の既往、膝痛の既往の交絡因子で補正した後も、連続した座位行動バウトの指標は、生命予後の有意な規定因子であった。慢性血液透析患者は、透析日にほぼ数時間以上横にならなければならないため、身体活動量を増加させることが困難であることが予想される。本結果を考慮すると、臨床現場において、慢性血液透析患者では、非透析日における連続した座位行動バウトを減少させることが、生命予後の改善に寄与する可能性が示唆された。
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Acta Medica Okayama
巻: 76 ページ: 113-119
10.18926/AMO/63404.