研究課題
ニューギニア島の西部に位置するMimika地域の低湿地に居住しているインドネシア人少数民族(主としてカモロ族)を対象者として、調査および試料採取を行った。サゴヤシを主とする伝統的な食生活を送っている人々(n=25)と、現代の一般的な食生活をしている人々(n=25)にインドネシア人医師が面接し、診察および食生活の調査、体組成測定を行った。また、血液と糞便を採取し、血算、血清アルブミン、血清コリンエステラーゼを測定した。さらに、共同研究先のハサヌディン大学医学部にて採取した糞便より腸内細菌叢のゲノムDNAを抽出した。一方、ニューギニア島少数民族の伝統食群と近代食群の比較に加え、日本人高齢者(地域在住高齢者、施設入所高齢者、介護病棟入院者)との食事・栄養状態の比較を行い、ニューギニア島少数民族近代食群では摂取カロリー・蛋白質摂取量が施設入所高齢者、介護病棟入院者と同等以下であり、ニューギニア島少数民族伝統食群(サゴ群)では摂取カロリーは同等だが蛋白質摂取量が施設入所高齢者、介護病棟入院者の半分程度と非常に少なかった。しかしながら、ニューギニア島少数民族では両群ともにPEMを呈するものはいなかった。岡山県立大学および国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所での倫理委員会審査にて承認されたことを踏まえ、カルタヘナ法に基づくインドネシア政府の認可を受けた。その後、糞便由来試料を岡山県立大学に輸送し、腸内細菌叢のゲノムDNAは国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所にて次世代シークエンサーによる16S rRNAメタゲノム解析を行い、菌叢の構成について検討した。現在、さらにWhole genomeメタゲノム解析を進めて特に窒素同化に注目して低蛋白食適応機構に関連する機能性遺伝子について、各種臨床検査結果と統合して解析を進めている。
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