研究課題/領域番号 |
20K11568
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
草野 由理 中部大学, 応用生物学部, 准教授 (90432252)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 筋芽細胞 / 細胞融合 / ジオスゲニン |
研究実績の概要 |
本年度は、マウス骨格筋芽細胞株C2C12細胞を用いて、ステロイドサポゲニンであるジオスゲニンがどのような作用機序をもって骨格筋の増強に関わるのかという点を明らかにした。本年度得られた結果は、食品成分には骨格筋細胞がもつ生理作用に働きかけ、骨格筋の増強を誘導する活性をもつものがあることを示すものといえる。ゆえに本研究により、「食」は単に骨格筋の維持・増進に必要な材料を提供するだけでなく、骨格筋細胞がもつ生理活性に影響する新規の食品機能が提示されたと考えている。また単に現象の発見でなく、分子レベルの作用機序の解明を行った。ゆえに科学的根拠を伴った機能性を提示できたと考えている。具体的には研究計画の課題1に相当するものである。 本研究は運動時に骨格筋に惹起される生理作用に着目し、「食」が「運動」の代替刺激となり得るかという問いに取り組むものである。「運動」の主体を担う骨格筋は、単にエネルギー消費して身体に動きを与えるだけではなく、内分泌器官として体内環境を整える役割を担う。これは「身体不活動・運動不足」が、WHOの「死亡に対する危険因子」の第4位に挙げられていること、また我が国においても高血糖、塩分の高摂取よりも高い危険因子となっていることからも裏付けられる。この作用を制御するのは骨格筋の維持・増強であり、本年度得られた結果は、本研究課題の基盤に相当する重要な部分の結果が得られたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は運動により骨格筋に惹起される3つの生理作用のうちの1つについて、食品成分がどのような作用機構により、運動にかわる効果をもたらすのかという点を明らかにすることができた。これは研究計画における課題1に相当する。また本年度はもう一つ別の生理作用に関しても、解明を進める予定であった。本年度は新型コロナウィルスの影響により細胞実験の継続性が確保できなかったことに加え、本年度得られた結果が効率よく進められたため、その研究を進めることにした。ゆえに得られた成果は計画以上のものであるが、研究全体としてはやや遅れているため、そのように自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度着手する予定であった研究計画課題2を進める。また今回得られた結果は想定以上の内容であった。その結果についてもさらに詳細に検討する。実験手法は、阻害剤を用いるなど、これまで行ってきた方法を使用するため、大きな課題はないと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により、継続的な細胞実験が不可能となった。また進行可能になった実験においては効率よく研究を進めることができたことから、消耗品の支出が予定より少額となった。また参加を予定していた学会が遠隔での開催となり、旅費を繰越すことになった。一方、2020年度に実施予定であった研究課題(研究計画課題2)については次年度に繰越して研究を行っていく予定である。ゆえに以上の繰越した費用をあわせて、繰越した実験に使用する予定である。
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