研究課題/領域番号 |
20K11570
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
崎山 晴彦 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30508958)
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研究分担者 |
江口 裕伸 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (60351798)
井原 秀之 佐賀大学, 医学部, 准教授 (50452834)
吉原 大作 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00567266)
藤原 範子 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10368532)
鈴木 敬一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70221322)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ChREBP / 転写因子 / 阻害剤 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
ChREBPは糖・脂質代謝に関連する酵素群の発現を調節するグルコース応答性の転写因子である。我々は、ChREBP KOマウスが高ショ糖食下で、体重と血糖値の増加が野生型マウスに比べて抑制されることを見出した。またそのメカニズムは、2糖類であるショ糖の分解抑制と糖の吸収抑制であることを突き止め、さらに脂肪組織において、蓄積した中性脂肪も積極的に消化されている可能性を示唆する知見を得た。 上記の結果から、ChREBPの阻害剤は、糖類の消化・吸収抑制と脂肪燃焼とを合わせ持つ新たなメカニズムのメタボリックシンドローム治療薬となりうると考えた。よって本研究課題では、既に得られた結果をもとにさらに脂肪組織での抗肥満効果の詳細なメカニズムの解明を行うとともに、ChREBP活性化阻害を示す化合物のスクリーニングを実施することを試みている。 今年度においては、脂肪組織の解析、特に褐色脂肪組織を用いた検討を行った。ChREBP KOマウスの褐色脂肪組織では電子伝達系複合体の発現量が増加していることが分かった。またミトコンドリアの融合や分裂に関わる因子の発現量を検討したところ、融合に関連する因子OPA1やMFN1の発現低下を認めた。その結果、KOマウスではミトコンドリアの数が増加し、サイズが小さいくなるということが電子顕微鏡による観察により判明した。またOPA1はミトコンドリアクリステの形成にも関わっていることから、KOマウスではミトコンドリアのクリステ形成に異常をきたしていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ChREBP KOマウスが高ショ糖下で示す肥満抑制効果について、先行研究の結果から小腸におけるショ糖の分解と吸収抑制によるものであるという知見を得ていた。今回はさらに研究を発展させ、脂肪組織における抗肥満効果の検討を行ってきた。 現在、ミトコンドリアの機能異常を見出し、本結果が肥満とどのような関係があるのかを明らかにしつつあることや、ChREBP活性化阻害剤のスクリーニングを実施する為のアッセイ系の構築などが終了してることなどを考慮すると、おおむね順調に進展しているという判断に至った。
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今後の研究の推進方策 |
ChREBP KOマウスの褐色脂肪組織において、脱共役タンパク質UCP1の発現量の増加とともにミトコンドリアのクリステ形成に異常が見つかった。今後は、褐色脂肪組織以外でも同様な現象が起きているのかを確認する。 また、ミトコンドリアの機能評価を行う必要がある。ATP産生能や膜電位を測定を行う予定である。 阻害剤のスクリーニングについては、現在化合物ライブラリーを提供していただける共同研究先を探している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた動物実験が、新型コロナの影響により、中止もしくは延期さぜるを得なくなったため。 使用計画としては、動物実験に必要な試薬や消耗品の購入を予定している。
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