研究課題/領域番号 |
20K11572
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
竹嶋 美夏子 中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (00241183)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 乳がん / リコペン / 一次予防 |
研究実績の概要 |
本研究では、リコペンの乳癌発症予防効果を高脂肪食でEthylmethane Sulfonate (EMS)誘発乳癌発症モデルラットを用い検証し、さらに、リコペンの乳癌細胞移植マウスモデルによる乳癌進展に対する抑制効果を検証することを目的としている。 2020年度は新型コロナ感染の拡大により、動物実験を行うことができず、2021年度から行うことになった。EMS誘発乳癌発症モデルラットは投与濃度が低く、経口投与のため、最も自然発症に近い乳癌モデルである。Wistar King A(WKA)メスラットを用い、高脂肪食(High Fat Diet32:HFD)にリコペン高含有トマトパウダー(10%リコピン含有)を0.5%添加した(0.05%リコペン)群、添加なし群に分け、乳癌の発症予防効果を検討した。ラットは、生後4週齢から12週間EMS添加飲料水を摂取させた。生後16週齢からは乳癌の発現を観察し、触診により腫瘍のしこりを触知した時点で摘出した。総EMS摂取量、摂餌量、総エネルギー摂取量、体重は添加群、添加なし群の2群間で差がないため、リコペン高含有トマトパウダーの有無以外の条件は同じと考えられた。 現在の腫瘍形成数は、添加なし群2匹、添加群1匹である。腫瘍の肉眼的形態は、両群ともに実組織であった。腫瘍形成がみられていないラットがいるため、2022年度も継続して腫瘍形成の観察を継続していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は、高脂肪食におけるリコペンの乳癌発症の動物レベルでの検証を行ったが、2022年度も継続する必要がある。2021年度中にリコペンの乳癌細胞移植マウスでの腫瘍形成抑制効果の検証を行う予定であったが、高脂肪食におけるリコペンの乳癌発症の動物レベルでの検証が終了しておらず実施できていないため、遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
高脂肪食におけるリコペンの乳癌発症の動物レベルでの検証においては、血中リコペン濃度の測定、摘出した腫瘍の病理組織検査を行う。 高脂肪食におけるリコペンの乳癌細胞移植マウスでの腫瘍形成抑制効果の検証においては、マウスに移植する乳癌細胞は、エストロゲン受容体 陰性、プロゲステロン受容体 陰性、HER2 陰性(トリプルネガティブ)のMDA-MB-468を用いる。マウスにこのMDA-MB-468を皮下接種し、腫瘍の形成と増大に対するリコペンの影響を検討する。マウスには、高脂肪食を給餌し、リコペン高含有トマトパウダー添加群と添加なし群で比較する。以上の研究により、リコペンによる乳癌発症予防効果の可能性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
高脂肪食におけるリコペンの乳癌発症の動物レベルでの検証を2021年度から開始したが、2022年度も継続する必要があり、動物飼料の高脂肪食の購入が必要となる。また、血中リコペン濃度の測定の費用も必要となる。
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