研究課題/領域番号 |
20K11574
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
菱木 はるか 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80456061)
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研究分担者 |
戸村 道夫 大阪大谷大学, 薬学部, 教授 (30314321)
遠藤 真美子 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (30436414)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 早産児 / 乳酸菌 / 感染予防 / 二重盲検試験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、早産児に対する加熱K15乳酸菌のウイルス気道感染症予防効果を明らかにすることである。不活化加熱乳酸菌を用いたランダム化二重盲検試験であり、早産児の免疫系細胞の網羅的な解析も合わせておこなっている。 2020年度は、前年度からすでに行っている参加者のエントリーを追加し、参加者の定期受診(試験薬投与、健康観察日誌回収)も継続した。内服を終了した者について臨床症状などのデータを順次入力している。また、参加者の血液を用い、マススペクトロメトリー(CyTOF)による免疫系細胞の網羅的な解析も行っている(研究分担者:戸村道夫)。 本研究の先行研究である、幼児を対する加熱K15乳酸菌の気道感染症予防効果を調べるためのランダム化二重盲検試験について、論文発表を行った(Nutrients 2020 ;12(7):1989)。 実際のデータは、すべての参加者の試験食品内服の終了(2022年4月頃)、データ確定後のキーオープン(試験食品群またはプラセボ群が判明)後の解析(2022年秋ごろ)の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度はCOVID-19感染症の流行に伴い、保護者のNICUの面会制限や外来受診制限が生じた。また、当院の特性上、基礎疾患を有し研究対象外の入院数が多く、リクルート目標数を変更する必要が生じた。そこで、当初の目標であった試験食品およびプラセボ各群35症例(計70症例)を計40症例に絞った。リクルートの工夫(病棟内のポスター掲示、入院時のパンフレット配布、NICUスタッフとの密な情報交換)などを行い、緊急事態宣言解除以降、前年度よりも同意件数を増加させることができた。(4月1名、5月0名、6月2名、7月6名、8月1名、9月1名、10月5名、11月1名、12月0名、1月2名、2月3名、3月1名)3月末をもって計41名のエントリーとなった。既に2019年度からエントリーしている参加者の外来受診についても、緊急事態宣言中や受診控えを希望する保護者に対し電子メールでの健康調査、試験薬の郵送対応などで試験期間を切らさずに継続することが可能であった。2021年3月時点で18症例の定期受診が終了し、血液・唾液・便などの検体採取が完了している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題について、感染症、新生児、免疫アレルギー、看護スタッフ等、複数の専門分野のスタッフで議論を定期的に行っている。既にエントリーは完了しており、次年度は参加継続のために、研究以外にも受診の便宜を図るなどの工夫を行っていく。今後もCOVID-19感染症の流行拡大が予想できないことから、受診控えを希望する保護者に対する電子メールでの健康調査、試験薬の郵送対応など臨機応変に対応する。 収集した臨床データは適時に入力し、ダブルチェックを行い、データ確定後すぐに解析に供することができるようにする。 臨床評価項目の一つであるRSウイルス感染症については、年度ごとに流行状況が変化することから、県内の病院の協力を得て疫学調査を行い、流行開始時期を的確に察知し、パリミズマブによる予防を開始するなどの対応を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はCOVID-19感染症流行に伴い、多くの学術集会が中止またはオンライン開催に変更となった。対面で参加予定であった学会をオンライン参加としたために、旅費、宿泊費などの支出を行わなかった(研究代表者、研究分担者)。また末梢血マススペクトロメトリー(CyTOF)の試薬については前年度から継続使用したため、支出を行わなかった(研究代表者、研究分担者)が、これについては2021年度に新規購入(20万~50万円/セット)が必要と考えている。先行研究の論文は前年度すでに投稿していたため、2020年度は校正代、別刷り代などの支出を行わなかった。 2021年度は現時点では学術集会の参加、試薬の購入、論文作成代、参加者への謝金(図書カード)、文房具代、郵送代などの支出が見込まれる(研究代表者)。また患者への教育用資材やオンライン会議で使用する機材などの支出も見込まれる(研究分担者)。
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