本研究では難消化性糖質の高アミロースデンプン(HACS)による大腸プロピオン酸生成の障害と細菌叢の多様性低下に大腸内におけるVB12不足が関与するかどうかを調べた。その結果、腸内細菌が有するプロピオン酸生成経路の補酵素であるVB12の不足により生じることを明らかにし、大腸内VB12濃度を63 pmol/g以上を保つようVB12を大腸に供給すれば、プロピオン酸生成経路が正常化することが示唆された。また、VB12投与によりHACSで生じる細菌叢の多様性低下が回復することも判明した。さらに、大腸にCoを供給すると腸内細菌によるVB12/類縁体合成が進み、プロピオン酸生成が正常化することを示した。
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