研究課題/領域番号 |
20K11578
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石本 憲司 大阪大学, 薬学研究科, 特任講師(常勤) (00572984)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ポリフェノール / 非晶質固体分散体 / NAFLD/NASH / シリビニン / ナリンゲニン / 難水溶性 / 体内動態 / 機能性食品開発 |
研究実績の概要 |
肝疾患である非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD)/ 非アルコール性脂肪肝炎 (NASH)に対する有効な治療法は存在せず、また大部分の患者さんが無症候性であることから、深刻な症状となって発見されることが多い。近年、NAFLD/NASHの発症を未然に防ぐ方策として、機能性成分であるポリフェノール(Pol)を用いたNAFLDの改善効果が期待される。しかしながらPolは、難水溶性が原因となり、体内吸収性が乏しいことから、NAFLDの改善効果を発揮させるためには大容量のPolが必要となる。そこで本研究では、申請者らが独自に開発した製剤技術を用いて水溶性及び吸収性に優れたPol非晶質体を創出し、この非晶質体を用いたNAFLD/NASHの予防戦略の基盤構築を目的とする。本研究の成果は、NASHに対する新たな予防戦略を提唱できると共に、世界初となる非晶質化技術を用いた健康食品の開発につながる。 本研究では、NASHの予防効果が期待できる難水溶性Polである「シリビニン(SLB)」をモデル化合物とした。本年度は昨年度調製したSLB非晶質について、消化管吸収性を評価すべく、結晶及び非晶質SLBをラットに経口投与し、経時的に血漿中SLB濃度を測定した。その結果、結晶群と比較して、非晶質群ではAUCが60倍、Cmaxが210倍増大していることが判明した。今年度は本製剤の安全性並びに機能性評価を通じて、機能性食品素材としてのSLBの実用化を目指す。 また、他の難水溶性Polである「ナリンゲニン」に関しても非晶質化を試みた。NRGに食品添加物であるポリマーと乳化剤を加えた三成分を熱混錬することで固体分散体を得た。そしてこの固体分散体の水への溶解度を検討したところ、結晶と比較して200倍以上増大した。今後は本製剤が非晶質化しているか、また消化管吸収性を改善するか検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデル化合物での体内動態に成功し、また別のポリフェノールでも固体分散化に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
創製した非晶質化シリビニンを用いて、NAFLD/ NASHに対する作用を評価する。更には他のポリフェノールに関しても非晶質化し、水溶性や体内動態、NAFLD/ NASHに対する作用を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度に、試薬や動物の購入費が想定以上に必要となることが判明したため、 当研究室に既にある試薬や動物を有効活用して、経費を抑制した。 またサンプルの分析費は共同研究のため、必要がなかった。
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