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2020 年度 実施状況報告書

臓器連環を介したメタボリックシンドローム発症抑制における腸管の寄与

研究課題

研究課題/領域番号 20K11582
研究機関長崎県立大学

研究代表者

城内 文吾  長崎県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (00548018)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード腸管 / メタボリックシンドローム / 臓器連環
研究実績の概要

メタボリックシンドロームの発症抑制または改善時の「腸管」の寄与度は十分に理解されていない。本研究では、メタボリックシンドローム発症抑制作用を有する食品因子を経口摂取した場合と、腸管をバイパスした場合(腸管初回通過効果の回避)の生体内応答差を解析し、臓器連環による病態発症抑制への腸管の寄与を調べる。
本年度は、抗メタボリックシンドローム作用を発揮する食品因子の中で、両親媒性分子であり門脈系とリンパ系の両方で輸送されうるグリセロリン脂質に注目した。グリセロリン脂質クラスの1つであるXと、Xの腸管消化産物であるX'およびX''をSD系ラットおよび肥満モデルOLETFラットの2系統に摂取させる実験を行った。病態発症前あるいは軽度の病態発症状態であった両系統を解析対象とし、アウトカムが明確でない時点での代謝変動を見出すことを目指した。GC-MSによる生体サンプル中の親水性低分子分析を展開した。血漿での分析では、476個のピークが確認され、各ピークの保持指標とマススペクトルをライブラリー情報と照合することで(現時点で)58個の代謝物を同定した。また、未同定のピークについてはUnknownとして多変量解析で取り扱った。群間の判別に寄与する代謝成分を抽出するために、教師データとして群情報を付与して判別するOPLS-DA(群を分けるスコアを最大化しながら2次元に縮約することでクラスタリングを行う)を実施し、ローディングプロットから群間の判別に寄与する代謝成分を複数抽出することができた。その中の1つは糖尿病・動脈硬化のリスクファクターであり、Xとして摂取した場合と、X'あるいはX''として摂取した場合で血中濃度が異なることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

以下の成果を得られたことから、概ね順調に進展していると判断した。
グリセロリン脂質Xと、Xの腸管消化産物であるX'とX''の栄養生理機能を評価し、病態発症前あるいは軽度の病態発症状態であった実験動物(ラット)を解析対象とし、アウトカムが明確でない時点での代謝変動を複数ピックアップすることができた。

今後の研究の推進方策

グリセロリン脂質Xと、Xの腸管消化産物であるX'およびX''の摂取に伴い、代謝の変動が認められたことを受けて、その変動に対する腸管の寄与を調べるべく、実験動物の腸内細菌叢を調べる。初年度の実験動物の解析対象臓器・組織がまだ限定的であったことから、未評価の臓器・組織を対象にメタボリック・プロファイリング法による代謝物の包括的計測を進める。また、腸管をバイパス(腸管初回通過効果の回避)させる研究について、具体的な実験計画・手法のプランニングを行う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [学会発表] 日本人のリン脂質クラスの摂取量2020

    • 著者名/発表者名
      城内文吾
    • 学会等名
      日本脂質栄養学会第29回大会
    • 招待講演
  • [図書] アグリバイオ2021年2月号 リン脂質の新たな代謝機構2021

    • 著者名/発表者名
      三浦進司、進藤英雄、青木淳賢、妹尾奈波、井上菜穂子、城内文吾
    • 総ページ数
      102
    • 出版者
      北隆館
  • [図書] 生体におけるリン脂質の性状と機能性2020

    • 著者名/発表者名
      細川雅史、城内文吾、三浦進司、青木淳賢、菅原達也、西向めぐみ
    • 総ページ数
      152
    • 出版者
      建帛社
    • ISBN
      978-4-7679-6215-3

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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