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2021 年度 実施状況報告書

臓器連環を介したメタボリックシンドローム発症抑制における腸管の寄与

研究課題

研究課題/領域番号 20K11582
研究機関長崎県立大学

研究代表者

城内 文吾  長崎県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (00548018)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード腸管 / メタボリックシンドローム / 臓器連環
研究実績の概要

メタボリックシンドローム(MetS)の発症抑制または改善時の「腸管」の寄与度は十分に理解されていない。本研究では、生体内での臓器連環を介して抗MetS作用を発現する食品因子のメカニズム解析において、腸管の寄与を調べることを目的としている。
2021年度において、抗MetS作用を発揮する食品因子の中で、両親媒性分子であり門脈系とリンパ系の両方で輸送されうるグリセロリン脂質に注目した。グリセロリン脂質クラスの1つであるホスファチジルコリン(PC)と、PCの腸管消化産物であるグリセロホスホコリン(GPC)、塩化コリン(CC)の3種類のコリン化合物を等モルでSD系ラットに摂取させる実験を行った。病態発症前、すなわち未病状態での代謝変動を見出すことを目指し、GC-MSによる親水性低分子化合物のノンターゲット分析、LC-MS/MSでのコリン代謝物分析、腸内細菌叢解析を展開した。多数の化合物の血漿濃度に群間変動が認められ、その中の1つは動脈硬化症・糖尿病のリスクファクターとして知られるトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)であった。血漿TMAO濃度はGPCおよびCC摂取で有意に高値を示し、PC摂取は変化させなかった。血漿TMAO濃度の変動と関連する7つの腸内細菌が見出され、その中でもAnaerotruncusおよびCoprobacterの占有率の影響が強いことが示された。また、PC摂取により有用菌として知られるAkkermansia muciniphilaの占有率が有意に高値を示し、このことがPC摂取による抗MetS作用に関与することが示唆された。
2021年度には、抗MetS作用を発揮するステロイド化合物を見出しており、その作用メカニズム解明に向けて最終年度は研究を展開していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上述の成果を学術論文に掲載するに至ったこと、そして抗MetS作用を有するステロイド化合物を見出していることから、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

抗MetS作用(脂質異常症・高インスリン血症の改善)を発揮するステロイド化合物を見出すことに成功した。2021年度までの研究では、実験動物の解析対象臓器・組織がまだ限定的であったことから、未評価の臓器・組織も対象にメタボリック・プロファイリング法による代謝物の包括的計測を進め、抗MetS作用のメカニズム解明・腸管の寄与を明らかにする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Unlike Glycerophosphocholine or Choline Chloride, Dietary Phosphatidylcholine Does Not Increase Plasma Trimethylamine-N-Oxide Levels in Sprague-Dawley Rats2022

    • 著者名/発表者名
      Shirouchi Bungo, Fukuda Ayano, Akasaka Taiki
    • 雑誌名

      Metabolites

      巻: 12 ページ: 64~64

    • DOI

      10.3390/metabo12010064

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 6-Ketocholestanolの腹腔内投与がラットの脂質・糖代謝に与える影響2021

    • 著者名/発表者名
      大坪友樹、武山藍、中山恵理子、城内文吾、田中愛健、佐藤匡央
    • 学会等名
      2021年度日本栄養・食糧学会九州・沖縄支部大会
  • [学会発表] Absorption of dietary cholesterol oxidation products in rats2021

    • 著者名/発表者名
      Shirouchi Bungo
    • 学会等名
      Blue Foods and Health International Forum
    • 招待講演
  • [学会発表] 魚油の事前乳化はn-3系多価不飽和脂肪酸の吸収速度を高める2021

    • 著者名/発表者名
      武山藍、中山 恵理子、加藤綾華、柳本賢一、田中愛健、佐藤匡央、城内文吾
    • 学会等名
      第75回日本栄養・食糧学会大会

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公開日: 2022-12-28  

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