研究課題/領域番号 |
20K11588
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
本田 浩一 昭和大学, 医学部, 教授 (70297000)
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研究分担者 |
内田 直樹 昭和大学, 医学部, 教授 (00286775)
木庭 新治 昭和大学, 医学部, 教授 (20276546)
小林 靖奈 昭和大学, 薬学部, 教授 (20276611)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 後成的遺伝子変性 / サルコペニア |
研究実績の概要 |
保存期慢性腎臓病(CKD)患者や透析患者では、慢性炎症・酸化ストレスや抗加齢因子の異常を発症しやすい生体内環境にある。その背景は後成的遺伝子変性の発現に影響し、遺伝子プロモーター領域のメチル化頻度が高い傾向にある。我々の検討では、後成的遺伝子変性の頻度は、腎機能が正常な心血管病患者や血液透析患者において有意に高く、KlothoやSirtuin1などの抗加齢因子の遺伝子のメチル化率が高いことが明らかとなった。 本研究の目的は、CKDにおける後成的遺伝子変性と栄養障害の関係を臨床的に解析することである。何故、CKD患者は栄養障害が進行性に悪化するのかという問いに対し、慢性炎症・酸化ストレス環境での抗加齢因子の後成的遺伝子変化に焦点を当て、栄養障害・サルコペニアとの関係を探索することである。 2021年度は、2020年度での研究参加者の充足不足を解消できた。健康被験者及び対象患者の本研究への参加同意者数は増加し、当初予定していた目標症例数の参加同意を取得することができた。 健康被験者及び対象患者からゲノムDNAを抽出・凍結保存し、血清の保存を行なった。また、後成的遺伝子変性(DNAメチル化)の解析を進めた。さらに対象患者の脂肪・筋肉量・筋力の測定をdual-energy X-ray absorptiometry(DXA)で行い、ハンドグリップテストによる筋力評価を実施した。それらの結果をもとに栄養障害、サルコペニアの評価・診断を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は本研究はコロナ禍の影響から研究対象となる方々の研究への同意取得に遅れが生じた。また、コロナ禍から研究参加者全体的の運動量が減っており、結果、以前の解析結果に比べて身体所見や栄養指標にやや変化が出現している。そのため栄養状態の正確な評価が難しい状態にあることから、解析の時期をやや遅らせて、身体所見の評価に適正な時期に開始時の所見を収集し、検討を行うこととした。 2021年度に入り本研究への参加者数は増加し、目標参加者数を達成することができた。対象患者においてDXAやハンドグリップテストによる身体測定、栄養障害の評価が終了した。また、後成的遺伝子変性の解析も進んでいる。以上より、研究開始時の進捗の遅れは概ね解消されている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度において健康被験者、対象患者の目標症例数は充足でき、また、研究開始時の後成的遺伝子変性の解析、栄養状態の評価を行うことができた。2022年度は対象患者の観察開始時から12ヶ月後のDXAやハンドグリップテストを実施し、栄養状態の変化を解析し、サルコペニアの発症・進展について評価する。また、RNAを抽出・保存し、ターゲットとなる抗加齢因子のmRNAレベルと血清タンパクレベルを解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
健康被験者、対象患者から全血を採取し、白血球からRNAの抽出を行なった。RNA抽出時期が2022年に跨り、抽出のための費用が次年度へ繰越となった。
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