研究実績の概要 |
【臨床試験】 「睡眠の質」とメラトニン分泌、血漿Aβ40/42比(アルツハイマー病の進展指標の一つ)の関連を調べるために臨床研究を行った。調音パネルを使用して睡眠環境(特に騒音環境)を改善させ、メラトニン分泌量の評価を行った。寝室照度を一定に管理した条件でメラトニン分泌指標を測定した結果、畜尿中メラトニンおよびその代謝産物(6-sulfatoxymelatonin)が有意に増加した(Fukushimaら2020)。京都市有隣地区自立高齢者36名(79.3 ± 6.44歳)と大学教職員21名(49.3 ± 12.9歳)を対象に、Aβ40/42を測定し加齢推移データ(y = 0.0109x + 7.5934)を得た(Yoneiら2021)。さらに、「睡眠の質」低下者12例(50.1 ± 4.9歳)を対象に、試験品寝具(AiR SX:西川産業)を使用する無対象試験を行い、血漿Aβ40/42比を測定した。「睡眠の質」低下者では、年齢調整後Aβ40/42が自立高齢者および教職員より有意に高いことが示された(論文準備中)。 【基礎実験】 予備研究では、グルコース由来アルデヒド(glyceraldehyde, glycolaldehyde)がcaspase-3を活性化し、ヒト皮膚線維芽細胞とマウスマクロファージRAW264.7の細胞死を誘発することを確認した。糖化ストレスがAβに及ぼす影響を観察するため、glucose、fructose, glyceraldehyde, glycolaldehydeとAβを反応させた結果、アルデヒド添加(60℃、18時間)によりAβのdimer, oligomerを生成することを確認した。RAW264.7にAβのmonomer, dimer, oligomerを添加した結果、これらのAβが細胞内に取り込まれることを形態的に確認した。
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