これまで、ケトン体や中鎖脂肪酸によるエネルギー代謝恒常性維持に関して、その詳細な分子作用機序の全容解明には至っていなかった。特に、中鎖脂肪酸は、血中濃度が極めて低値であることから、生体内における生理的意義は不明であった。本研究により、中鎖脂肪酸は、中鎖脂肪酸受容体を介した糖・エネルギー代謝調節への寄与に加えて、代謝性疾患における肝臓での免疫代謝制御とその病態生理学的意義が明らかになった。今後、中鎖脂肪酸受容体を標的とした新規治療薬創出だけでなく、中鎖脂肪酸を含む機能性食品の開発を通じて、代謝性疾患の新たな予防・治療戦略の確立へと繋がることが期待される。
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