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2020 年度 実施状況報告書

スフィンゴシン1-リン酸産生を起点とした新規熱産生機構の解明と肥満治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K11601
研究機関金沢大学

研究代表者

盛重 純一  金沢大学, 医学系, 助教 (50423405)

研究分担者 吉岡 和晃  金沢大学, 医学系, 講師 (80333368)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードスフィンゴシンキナーゼ / スフィンゴシン1-リン酸 / 褐色脂肪細胞
研究実績の概要

これまでの研究でマウスを寒冷下で飼育すると褐色脂肪組織でスフィンゴシンキナーゼ1(SphK1)が増加することは分かっていたが,本年度の研究によりSphK1はリソソームに局在していること,SphK1陽性の小胞(リソソーム)は寒冷刺激すると増加することを新たに見出した.興味深いことにSphK1を遺伝子的に欠損させたマウス(SphK1 KO)の褐色脂肪組織では,リソソーム数の低下が観察された.SphK1とリソソーム数との関連性を調べるために,SphK1 KOの褐色脂肪細胞にSphK1-GFPを導入したところ,リソソーム数が野生型の褐色脂肪細胞と同レベルにまで回復したことから,SphK1の欠損がリソソーム数低下の原因であると考えられた.また,SphK1 KOの褐色脂肪組織では,野生型マウスよりもトリグリセリドが蓄積していた.褐色脂肪細胞の細胞質リパーゼは,タンパク質レベル,酵素活性ともにSphK1 KOと野生型の褐色脂肪細胞と同レベルであったこと,SphK1の褐色脂肪細胞ではリソソーム数が低下していること,褐色脂肪細胞のリソソーム活性を薬理学的に阻害するとトリグリセリドが増加したことから,トリグリセリドの蓄積はリソソームによる脂肪分解の低下が関連していると考えられた.さらにSphK1 KOを低温で飼育すると野生型マウスよりも体温が低下することも見出した.現在,この機構について解析中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナの影響で年度初めの数カ月間は実験が思うようにできず,実験動物の確保も困難であったが,それ以降は比較的順調に実験計画に沿って実験を実施できた.ただ遺伝子欠損マウスの確保に少し時間がかかってしまい,ウェスタンブロッティングなど一部の実験は年度内に終わらず次年度に持ち越しとなった.

今後の研究の推進方策

初年度に実施できなかったウェスタンブロッティングなどを優先的に行い,リソソーム生合成とSphK1欠損との関連性を明確にする.また,SphK1 KOでは寒冷耐性の低下が観察されたためその機構についても検討する.これらに加え,当初の計画である褐色脂肪組織が放出するエキソソームについての解析も開始する.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの影響で年度初めの数カ月間は実験が思うようにできず,年度後半にかけて大分カバーはしたものの計画しながら未実施の実験も残っている.次年度はそれらの実験も含めて計画を進める予定である.具体的な実験計画としては,SphK1とリソソーム生合成や熱産生との関連性を調べるためのウェスタンブロッティングおよび免疫染色,褐色脂肪組織が放出するエキソソームの定量や定性を予定しており,抗体や試薬,細胞培養に関連する培地や血清,エキソソームの定量キットおよび消耗品の購入費用が必要となる.また,実験動物も引き続き使用するために飼育費用も必要である.さらに次年度には研究成果の学会発表および論文投稿も予定しており,その旅費や論文投稿の費用も必要となる.

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公開日: 2021-12-27  

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