研究課題/領域番号 |
20K11605
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
正木 孝幸 大分大学, 医学部, 准教授 (00423715)
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研究分担者 |
後藤 孔郎 大分大学, 医学部, 講師 (10457624)
加隈 哲也 大分大学, 保健管理センター, 准教授 (80343359)
柴田 洋孝 大分大学, 医学部, 教授 (20245484)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肥満症 |
研究実績の概要 |
肥満症や糖代謝異常への治療の選択肢の一つとして減量・代謝改善手術が行われている。わが国においては肥満症への減量・代謝改善手術の中でスリーブ状胃切除術が保険適応になっている。減量・代謝改善手術は減量効果と併せてエネルギー代謝の改善効果も期待されている。一方でスリーブ状胃切除術のエネルギー代謝の改善のメカニズムについては不明な点も多い。本研究の学術的背景として、わが国においては中高年男性を中心に肥満症患者は多く、医療的にも社会的にも重要な健康課題である。肥満症は一般にエネルギーのバランスの乱れ、即ち摂食量の増加とエネルギー消費の低下により起こる。そこで以前よりエネルギー代謝を調節するサイトカインの解析が行われ、様々なサイトカインが摂食やエネルギー消費調節に関与する事などが示されてきた。申請者もサイトカインレプチンが室傍核の神経活動などを介してエネルギー代謝に関与することを示してきた。肥満外科療法は肥満症のエネルギー代謝改善に有用であるが、しかしなぜエネルギー代謝が改善するのか、食事療法などの内科的減量とどのように違うのか等の解析については少ないのが現状である。今回の研究ではスリーブ状胃切除術の機序の解明として、そのエネルギー代謝の改善効果がどのような機序で起こるのか、特にエネルギー代謝の中枢である脳内において、エネルギー代謝に関連する各サイトカインがどのように変化しているのかスリーブ状胃切除術モデルを用いて解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までの進捗状況としては、本年度はスリーブ状胃切除術モデルを用いて脳内のエネルギー代謝に関連するサイトカインとしてinterleukin6の解析を進めた。上述の偽手術+自由摂食群、スリーブ状胃切除術+自由摂食群、ペアフィード摂食群の3群に分けて比較検討した。今回の作成モデルではエネルギー代謝に関連するサイトカインである脳内や血中のinterleukin6はスリーブ状胃切除術+自由摂食群、ペアフィード摂食群、偽手術+自由摂食群の間で明らかな有意差は認めなかった。今回の解析で肥満症モデルのエネルギー代謝に関連するサイトカインとしてinterleukin6の解析ができた。一方で肥満症モデルの更なる糖代謝に関連するtumor necrosis factorなどのサイトカインの解析については測定系が上手に解析できずやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として各肥満糖尿病モデルにおいて更に脳内のエネルギー代謝に関与するサイトカインの解析を行い学会や研究会発表へと進めていく。肥満症モデルにおける脳内の解析(ELISA測定系)等が一部評価できず次年度使用額が発生している。
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次年度使用額が生じた理由 |
各種肥満症モデルにおける更なる関連サイトカインの解析が上手く進まず次年度の使用額が発生している。今後の使用計画としては各群の臓器内の糖代謝性因子に関連する検査キットや解析用物品購入や関連学会の発表や研究情報収集のための旅行費や論文発表の別刷り代などに使用予定である。
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