研究課題
核内受容体PPARαおよびLXRの機能発現における共通のヘテロ二量体パートナーであるRXRリガンド(ビタミンA誘導体)の作用について検討を行った。C57BL/6系雄性マウスをビタミンA摂食群とビタミンA欠乏群に分け、各群のマウスにPPARαアゴニスト(fenofibrate)またはLXRアゴニスト(T0901317)をそれぞれ投与し、マウス空腸および肝臓のPPARα、LXRの標的遺伝子発現量の変動を調べた。マウス肝臓および空腸のPPARα標的遺伝子発現量は、ビタミンA摂取下においてPPARαアゴニスト投与により、発現量が増大するものと増大を示さないもの見られたが、ビタミンA欠乏状態下ではいずれの組織においてもPPARα標的遺伝子の発現量はPPARαアゴニスト投与により増大を示した。一方、マウス肝臓及び空腸のLXR標的遺伝子発現量に対しても、ビタミンA摂取下ではLXRアゴニスト投与による発現変動パターンは異なっていたが、ビタミンA欠乏状態下ではいずれのLXR標的遺伝子の発現量がLXRアゴニスト投与により増大を示した。これらの結果から、肝臓や空腸のPPARαおよびLXRの脂質代謝系の標的遺伝子発現はビタミンA欠乏時でもそれぞれの核内受容体アゴニストにより増大を示したことから、その共通のヘテロダイマーパートナーであるRXRのリガンドと考えられるビタミンA由来の代謝産物(9-cisレチノイン酸など)は内因性リガンドではなく、ビタミンA代謝産物以外の物質の内因性リガンドの存在が考えられた。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Journal of Nutritional Science and Vitaminology
巻: 68(5) ページ: 409-419
10.3177/jnsv.68.409.