研究課題/領域番号 |
20K11609
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
徳田 信子 獨協医科大学, 医学部, 教授 (70227578)
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研究分担者 |
大和田 祐二 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20292211)
入澤 篤志 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60295409)
山本 由似 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (80635087)
小川 覚之 獨協医科大学, 医学部, 講師 (40436572)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脂肪酸 / 炎症 / 腸炎 / 胎児 |
研究実績の概要 |
胎児期からの脂肪酸摂取バランスが炎症性腸疾患の寛解と再燃に与える影響を検討するため、我々は多価不飽和脂肪酸のキャリアタンパク質に注目した。このキャリアタンパク質は活性化したB細胞の一部の細胞群に発現しており、炎症制御に関与していると考えている。このキャリアタンパク質を欠損したマウスを用いて、その欠損が炎症性腸疾患に与える影響を検討し、さらに質量分析イメージングにより、その基盤となる分子群の局在変動を解析した。以下、前年までに得られた結果も含めてまとめたものを示す。 方法:(1)KOマウスとWTマウスについて、正常状態の体重や腸を比較した。(2)常法通り、デキストラン硫酸ナトリウム塩(DSS)の自由飲水により腸炎を惹起し、KOマウスとWTマウスの炎症の状態を比較した。(3)質量イメージング解析により、正常状態および炎症部位の大腸のリンパ濾胞に集積する分子群を探索・同定し、その局在をイメージングした。 結果と考察:(1)KOマウスは、WTマウスよりやや体重が多かったが、腸の長さや組織学的な所見には差が見られなかった。(2)DSSを7日間飲水させたところ、KOマウスの腸炎の程度が有意に高くなった。(3)分子局在について比較し、正常状態および炎症部位の大腸のリンパ濾胞に集積する分子の質量イメージング像を得た。この分子は炎症状態のKOマウスのリンパ濾胞にも集積していたが、正常状態より局在量が低下していた。この分子が炎症の惹起や悪化に関与している可能性が高いと考えられた。これらの結果をまとめ、第129回解剖学会全国学術集会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Covid-19の影響で学外との共同研究が進まず計画を大幅に変更したが、それがおおむね順調に進むようになった。
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今後の研究の推進方策 |
概要の部分に記した通り、分子局在について比較し、正常状態および炎症部位の大腸のリンパ濾胞に集積する分子の質量イメージング像を得た。この分子は炎症状態のKOマウスのリンパ濾胞にも集積していたが、正常状態より局在量が低下していた。この分子が炎症の惹起や寛解に関与している可能性が高いと考えている。この分子が脂肪酸であると仮定して解析したところ、分子量からいくつかの候補が挙がってきた。候補について標品を準備し、分子の同定に向けた比較を行う予定にしている。 濾胞の細胞については、集積している細胞種の同定を行っている。さらに、上記の解析で同定した分子との反応を解析する方法を検討中でである。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19の影響で研究の進行が滞っていたが、方法を変更し、研究を進めることができた。本年度の研究結果から、炎症の惹起と寛解に関与する脂肪酸の候補が挙がってきたが、それを確定するところまでは到達できなかった。次年度はこの候補分子およびその分子と炎症との関連について解析を進める。解析に関わる消耗品の購入に助成金を使用する予定である。
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