研究課題
日本人の死因の第2位は虚血性心疾患であり、とりわけ、アテローム性動脈硬化性疾患は生活習慣病の中でも増加の一途をたどっている。これまでに研究代表者は、虚血性心疾患の主因であるアテローム性動脈硬化が、タバコに含まれるニコチンによる血管平滑筋細胞を収縮型から遊走・増殖型へ形質転換により誘発される分子機構を明らかにしてきた。本研究では、血管平滑筋細胞の形質転換をニコチンで誘発させる細胞モデルを用いて、疾患エクソソームがアテローム性動脈硬化を増悪する可能性を解明するとともに、予防バイオマーカーやアテローム形成の抑制が期待されている機能性食品成分の探索に応用することで、先制医療に向けたトランスレーショナルリサーチに繋げる。本研究では正常人より単離されたヒト大動脈血管平滑筋細胞を海外より購入し、研究を行ってきたが、正常細胞は継代を繰り返す度に細胞形態やその性質が変わることが危惧される。また、現在使用している正常ヒト大動脈血管平滑筋細胞は8継代を超えると細胞の増殖が著しく低下することもわかってきた。さらにコロナ禍で、海外からの細胞の調達も厳しくなり、少ない研究費で非常に高い細胞を購入し続けることは現実的ではないと判断した。スクリーニングに使用する細胞を安定にストックすることは非常に重要であるため、少し遠回りとはなるが、ヒトテロメアーゼ遺伝子をレンチウイルスを用いて導入することで不死化細胞株の樹立を図る必要性が出てきた。
3: やや遅れている
コロナ禍で実験が幾度か中断することや、海外からの正常細胞の入荷が遅延し、若干実験は遅れている。また、使用していた正常ヒト大動脈血管平滑筋細胞に継代による老化が見られ、そのモデル細胞としての問題が浮上した。
これまで海外より購入してきた正常ヒト大動脈血管平滑筋細胞を、今後はモデル細胞としてさらに安定化にするため、ヒトテロメアーゼ遺伝子をレンチウイルスで細胞に導入することで不死化安定細胞株の樹立を図る実験をスタートさせた。
米国から購入を予定していたヒト正常細胞が度重なる遅延で年度内に購入できなかった。未購入分は2022年度4月に購入する。
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