研究課題/領域番号 |
20K11611
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
中村 彰男 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (30282388)
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研究分担者 |
岸 博子 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (40359899)
河原田 律子 (那須律子) 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 講師 (60383147)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 虚血性心疾患 / アテローム動脈硬化疾患 / 血管平滑筋細胞 / エクソソーム / 血管平滑筋細胞の形質転換 |
研究実績の概要 |
虚血性心疾患は日本人の死因の第2位を占め、急性心臓死の主要原因となっている。この疾患の主因であるアテローム性動脈硬化症は、血管平滑筋細胞の脱分化によるアテロームの肥厚に起因している。本研究では、タバコの主流煙に含まれるニコチンが血管平滑筋細胞の脱分化を誘導することから、ニコチン暴露下での「動脈硬化疾患モデル細胞」を構築した。このモデル細胞より分泌される疾患エクソソームに着目して、バイオマーカーや予防効果のある食品機能性成分の探索研究を行っている。さらに冠動脈平滑筋細胞や心筋細胞にも焦点を当て、疾患エクソソームを利用して予防バイオマーカーや予防効果のある食品成分の探索に挑戦する。これにより、集団および個人の予防に役立つ予防医療・先制医療への途を開く。昨年度より、血管平滑筋細胞と心筋細胞の疾患クロストークにおけるエクソソームの変化に関する研究を遂行するために、ヒト大動脈由来の血管平滑筋細胞の不死化細胞株化手法を応用して、初代ヒト心筋細胞やヒト冠動脈由来血管平滑筋の不死化細胞株化を試みた。その結果、初代ヒト心筋細胞においては、ヒトテロメアーゼ遺伝子のレンチウイルスベクターを用いた遺伝子導入に成功したが、細胞の増殖能が著しく低下し、細胞形態も大きく変化した。この低下の原因については現時点では明らかにできていないため、今後の遺伝子解析などによる解明が必要である。一方、ヒト冠動脈由来血管平滑筋では遺伝子導入がうまくいかず、ネオマイシンによるスクリーニングでもレスキューされる細胞が得られなかった。これらの結果は、心筋細胞と血管平滑筋細胞の間の疾患関連クロストークにおけるエクソソームの役割を理解するための重要な手がかりとなることから、さらなる研究の試行錯誤が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初代ヒト心筋細胞やヒト冠動脈由来血管平滑筋の不死化細胞株化が上手くいかず、現在、その原因の解明と試行錯誤を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は昨年度に引き続き、初代ヒト心筋細胞やヒト冠動脈由来血管平滑筋の不死化細胞株化を試みるとともに、血管平滑筋細胞と心筋細胞の疾患クロストークにおけるエクソソームの変化を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヒト心筋芽細胞およびヒト冠動脈血管平滑筋細胞の不死化細胞を作製したため、当初の研究計画に変更が生じた。そのため、実施できなかったニコチン曝露によるヒト心筋芽細胞およびヒト冠動脈血管平滑筋細胞からのエクソソームの解析を次年度に遂行する。
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