研究課題/領域番号 |
20K11612
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
松村 暢子 帝京大学, 医学部, 助教 (30317698)
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研究分担者 |
青山 晃治 帝京大学, 医学部, 教授 (00420943)
木下 千智 帝京大学, 医学部, 助教 (10567085)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | プリン体 / 尿酸 / 骨髄幹細胞 / グルタチオン / トランスポーター |
研究実績の概要 |
尿酸およびキサンチン誘導体などを含めたプリン体の中には、骨髄幹細胞のような成体幹細胞に対して、骨細胞、脂肪細胞、神経細胞などへの細胞分化を調節したり、細胞増殖および細胞遊走を調節する作用を持つものがあると報告されている。さらに幹細胞自身が生体内のプリン体の代謝を担っているという報告もあり、プリン体と成体幹細胞の相互作用の生理的意義に注目している。これまで我々は尿酸やカフェインが海馬スライス培養においてシステインの取り込みを上昇させること、材料の1つであるシステインの上昇が細胞内のグルタチオンの産生増加を引き起こし、神経保護効果を発揮することを明らかにしてきた。本研究ではマウス骨髄幹細胞の初代培養を用い、プリン体代謝物のうち尿酸がグルタチオン産生を促進するかどうかについて調べてきた。細胞内グルタチオンの上昇の評価手段として、培養細胞内のグルタチオンをCMFDAで蛍光標識し、フローサイトメトリーを用いて細胞集団の蛍光強度を測定した。尿酸を添加した培地で30分処理したマウス骨髄幹細胞にシステインを添加したところ、細胞内のグルタチオン上昇を引きおこさず、むしろ低下させる傾向がみられた。このことから骨髄幹細胞においては神経細胞で見られたような尿酸によるシステインの取り込み増加やそれに続く細胞内グルタチオンの上昇はおこらないと考えられた。今後はカフェインなどのキサンチン誘導体を含め他のプリン体によるグルタチオン産生への影響の有無を調べる。また、これまでは平常環境下での尿酸の細胞内GSH産生システムへの作用を調べてきたが、酸化ストレス下でGSH産生システムが稼働した状態での尿酸およびプリン体の影響についても調べる計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症対策に関わる仕事の増加により、当初の予定より研究の進行に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は尿酸以外に範囲を広げ、キサンチン誘導体を含めたプリン誘導体による骨髄幹細胞のグルタチオン産生への作用を調べる。これまでは平常培養環境下でのプリン体による影響を調べてきたが、研究結果をふまえ、酸化ストレス下での影響についても調べることを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症対策に関する仕事の増加により、研究の進行が遅れている。当初予定していた実験に必要な抗体、試薬および消耗品などの物品の購入がなかったことにより差額が生じた。今後は研究計画に従って物品の購入に使用する予定である。
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