研究課題/領域番号 |
20K11613
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
佐久間 理英 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (10551749)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リン / 血清リン濃度 / 日本人 / 食事摂取基準 / 朝食 |
研究実績の概要 |
血清リン濃度の上昇は、血管平滑筋と血管内皮の両面から動脈硬化を促進することで種々の疾患の発症や死亡に関与する。よって、血清リン濃度を適正に管理することが、動脈硬化を予防し健康長寿を達成するために重要であり、個人の代謝特性に応じた最適な量のリンを摂取することが重要であると考えられる。 日本人の食事摂取基準は、健康の保持・増進を目的に、摂取することが望ましい栄養素の量を定めたものであるが、リンについては日本人における出納・代謝に関するエビデンスが不足しているため、推定平均必要量や推奨量の策定に至っておらず、最適な摂取量は十分に解明されていない。そこで本研究は日本人を対象として、個人特性や食行動などの因子がリン代謝に及ぼす影響を解明することで、日本人に対応したリン摂取基準の策定に貢献することを目的とする。 2022年度は、食行動の1つとして「朝食の欠食」に注目し、リン代謝に及ぼす影響を検討した。健康な若年女性8名を対象に、朝食・昼食を1食分ずつ摂取するEE群、朝食を欠食し昼食を1食分摂取するNE群、朝食を欠食し昼食を2食分摂取するNW群として、食事摂取パターンの異なる3回の試験食負荷試験を行った。食事摂取時刻を朝食8:00、昼食13:00とし、8:00から2.5時間ごとに採血、蓄尿を行い、リン・カルシウム代謝指標の日内変動及び食事摂取パターンの違いによる影響を評価した。朝食摂取後の血清リン濃度は、朝食摂取の有無によって差は見られなかったが、昼食摂取後の血清リン濃度は、EE群に比してNE群およびNW群で変動が大きく、最大変動幅はNW群においてEE群よりも有意に高値を示した。血清リン濃度の急激な変動は、血管内皮の損傷を誘発すると報告されているため、血清リン濃度の変動を抑えるためには、朝食を摂取することが望ましいと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題は、2020年度から2022年度の3年間で実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、2020年度および2021年度では、当初予定していたヒトを対象とした食品負荷試験を実施することが出来なかった。加えて、研究代表者が所属先を異動したため、異動先での研究体制を整えることに時間を要してしまい、進捗状況に大幅な遅れが生じた。 2022年度は、感染予防対策を十分に講じた上でヒトを対象とした食品負荷試験を実施することが出来たが、当初の予定からは遅れているため、進捗状況を「遅れている」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に実施した、朝食の欠食がリン代謝に及ぼす影響の評価について、十分な対象者数を確保するため、追加でヒトを対象とした食品負荷試験を実施するとともに、尿中リン排泄についての詳細な解析を行い、研究成果を学会発表および英語論文として報告する。 また、身体活動がリン代謝に及ぼす影響を検討するため、健常者を対象として、身体活動あり・なしのクロスオーバー法で試験食の負荷試験を行う。身体活動ありの場合は、自転車エルゴメーターによる運動負荷を行い、経時的に採血および採尿を行うことで、血中リン代謝指標および尿中リン排泄量への影響を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大および研究代表者の所属先異動に伴い、当初予定から研究の進捗状況に遅れが生じたため、次年度使用額が発生した。次年度は、引き続きヒトを対象とした食品負荷試験を実施し、研究成果を学会発表および論文で報告する。そのため次年度使用額は、試験食、採血・蓄尿検査の消耗品、対象者および採血協力者への謝金、血液・尿検査委託費用の他、学会参加の旅費、英語論文の校閲および論文投稿費用として使用する。
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