研究課題/領域番号 |
20K11615
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
竹内 実 京都産業大学, 生命科学部, 教授 (70257773)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 喫煙 / 肺胞マクロファージ / アレルギー |
研究実績の概要 |
電子タバコ煙の成分である水溶性タバコ葉抽出液をケンタッキー研究用タバコ1本に超純水80mlに懸濁し抽出し、遠心後、タバコ葉抽出液を作製し、ろ過滅菌し、これを電子タバコとした。作製したタバコ抽出液を噴霧器を用いて、マウス気管支内にエアゾル化し電子タバコ喫煙させた後、スギ花粉の一定濃度を気管支内に噴霧し、24時間後に気管支肺胞洗浄法により肺胞マクロファージを採取し、スギ花粉による肺胞マクロファージの免疫応答に対する電子タバコ喫煙によるアレルギー発症への影響を検討した。 肺胞マクロファージの細胞数は電子タバコ喫煙、スギ花粉吸入により、非喫煙群に比較して増加した。スギ花粉吸入により好中球の誘導が認められたが、電子タバコ喫煙により好中球数、肺胞マクロファージ数は減少した。また電子タバコ喫煙により、好中球の肺胞内への誘導も認められた。燃焼式タバコ喫煙では、好中球の誘導は認められないことから、電子タバコと燃焼式タバコ喫煙で肺での炎症性細胞である好中球の反応が異なることが示された。電子タバコは、肺胞マクロファージのドットプロットにも影響を及ぼし、燃焼式タバコ喫煙と同様であった。スギ花粉吸入によりドットプロットは変化が認められたが、電子タバコ喫煙によりさらに強い変化が認められた。電子タバコ喫煙はスギ花粉に対する肺胞マクロファージの免疫応答を抑制することが認められた。電子タバコ喫煙は、スギ花粉に対する肺胞マクロファージの免疫応答を抑制することから、アレルギー発症に影響を及ぶす可能性が示唆された。今後、肺胞マクロファージの免疫関連サイトカイン遺伝子、細胞移動能力、食作用などの免疫機能について解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染の状況により、共同研究先であるカリフォルニア大学デイビス校、健康と環境センターに出張して実験することが出来なかったため、またアメリカ胸部疾患学会(ATS2020)に参加出来なかったため、やや進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
電子タバコの成分であるタバコ抽出液を気管支内に噴霧して、スギ花粉に対する肺胞マクロファージ数、Dot plotに影響が認められた結果から、今後は、肺胞マクロファージの免疫機能について、蛍光標識したモノクローナル抗体を用いて、FACSにより細胞表面レセプターの発現について検討を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度新型コロナウイルス感染の状況により、共同研究先であるカリフォルニア大学デイビス校、健康と環境センターに出張して実験することが出来なかった。そのため、2021年度は、2020年度カリフォルニア大学デイビス校に出張し実験が出来なかった計画分についても出張し実験を行う。
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