研究課題/領域番号 |
20K11617
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
蘆田 健二 久留米大学, 医学部, 准教授 (40549333)
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研究分担者 |
永山 綾子 久留米大学, 医学部, 助教 (00837883)
大江 賢治 福岡大学, 薬学部, 教授 (30419527)
野村 政壽 久留米大学, 医学部, 教授 (30315080)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サルコペニア / 肥満 / 糖尿病 / コルチゾール |
研究実績の概要 |
生体におけるコルチゾールの筋・脂肪・骨に対する影響を検討することを目的としてクッシング症候群およびサブクリニカル・クッシング症候群で構成される希少疾患患者のレジストリの構築と拡充を継続している。細胞内コルチゾール高値群の対照者として、非機能性副腎腫瘍、原発性アルドステロン症などの患者のレジストリも構築している。登録症例を対象としたインピーダンス法を用いた体組成分析を実施し、体重・体格指数・骨格筋量・体脂肪量の集積データを解析している。また、副腎腫瘍の評価時に用いたCT画像を用いて体脂肪(皮下脂肪、内臓脂肪)、肝内脂肪、骨格筋脂肪として分類した解析を開始した。また、握力との関連も解析し、骨格筋の質的評価を予定している。 11β-HSD type-1阻害薬を用いた臨床研究については英文誌に投稿し、journal of clinical endocrinology and metabolismに掲載された。この結果をふまえて、米国の企業と臨床使用できる11β-HSD type-1阻害薬の供与に向けて交渉を継続して行っている。 グルココルチコイドの骨格筋・脂肪に対する作用を培養細胞を用いて解析を試みている。特に骨格筋や脂肪組織局所のマクロファージを介した作用を想定してTHP1-1(ヒト単球細胞株)とC2C12(マウス筋芽細胞株)を用いて検討を進めている。マウスを用いたCTによる体組成解析の手技を確立しており、グルココルチコイドの筋・脂肪に与える効果を画像を元に評価し、臓器の単離による解析結果と合わせて評価を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クッシング症候群およびサブクリニカルクッシング症候群の患者レジストリは順調に登録が進み拡充している。また、対照群のデータも病態・臨床的意義を評価するデータベースとして、本研究の知見の導出目標として重視して進めている。動物実験・培養細胞実験も、流通の問題から11βHSD type-1阻害薬の調達に支障があるものの、遺伝子・蛋白発現の変化がスムースにできるよう計画を前後して調整し進めている。
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今後の研究の推進方策 |
患者レジストリの拡充をさらに進める。高コルチゾール血症のもつ筋・骨格筋への影響を対照者と対比して影響を検討する。また、心血管疾患やサルコペニア、肥満症、代謝異常の増悪など老化への影響を考え、老化制御の治療ターゲットとなる因子を検討する。現在は、夜間血清コルチゾール濃度との相関を検討している。 コルチゾン投与マウスを老化モデルマウスとして計画に沿って進めていく。培養細胞を用いた検討では、11β-HSD type-1阻害薬を用いた際の11β-HSD type-1/2、グルココルチコイド受容体α/β、およびグルココルチコイド標的遺伝子の発現変化の解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会報告で使用を予定していた旅費を、次年度に使用することとした。
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