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2020 年度 実施状況報告書

複合型高脂血症発症に関与する肝性リパーゼ活性・内因性リパーゼインヒビターの役割

研究課題

研究課題/領域番号 20K11621
研究機関金沢大学

研究代表者

稲津 明広  金沢大学, 保健学系, 教授 (80293348)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードリポ蛋白リパーゼ / 複合型高脂血症 / ANGPTL3 / ANGPTL4 / ANGPTL8 / アポA5 / 高トリグリセリド血症 / 内因性インヒビター
研究実績の概要

家族性複合型高脂血症 (FCHL, familial combined hyperlipidemia) は家系内にVLDLとLDLが増加する病態であるが,表現型( IIa, IIb, IV) が家系内で多様であること,また個人内で表現型が変動することが特徴である.その成因についてインスリン抵抗性やTG代謝異常が推定されるが,遺伝子レベルでは十分に解明されていない。本邦ではHDL増加の病態が血清コレステリルエステル転送蛋白 (CETP) や肝性リパーゼ(LIPC)の遺伝子バリアントの影響でそれらの活性低下が比較的高頻度に見受けられるので,欧米とは異なる遺伝背景の病態が存在すると考えられる。
そこで 個人の表現型においてVLDL, LDL, HDLのいずれか二つの分画が増加し,一時期においてIIb高脂血症を認めた患者群において二次性要因を精査することと共に,リポ蛋白リパーゼ活性に影響すると考えられる内因性インヒビターの蛋白定量および酵素活性を測定し, 遺伝子バリアントを含めて複合型高脂血症病態との関連性を検討する.
2020年度は新たに複合型高脂血症リストの作成に取り組み,10例を新規登録した.また,既報の一般人集団における血清脂質値とアンジオポエチン様蛋白 (ANGPTL8) 遺伝子の多型Xとの関連性を190例で検討し,その多型X低頻度アレルで高HDL低TG血症との関連性を認めた.この集団においてANGPTL3とANGPTL4では遺伝子頻度0.01以上のミスセンス関連SNPは検出しなかった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

複合型高脂血症を一過性に呈した患者群のデータベースを構築し,2020年度は新たに10例を登録した.

また,既報の一般人集団における血清脂質値とANGPTL8遺伝子の多型Xとの関連性を190例で検討し,その多型X低頻度アレルで高HDL低TG血症との関連性を認めた.本邦データベースにおいてANGPTL3とANGPTL4の多型で十分な頻度のコーディングSNPは検出しなかった.

今後の研究の推進方策

2021年度は複合型高脂血症のデータベースを発展させる.さらに目標症例追加を20例とする.

一般人集団でのANGPTL8 SNP解析では男女別の表現型比較を行うため,別コホートの解析を追加する.ANGPTL3,4のSNPは少ないので,ANGPTLインヒビターである可能性のあるアポA5について追加検討を加える.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染拡大により.実験消耗品の入荷が遅れたことにより次年度に購入することにした.次年度使用額と令和3年度以降に請求した助成金はSNP同定のための制限酵素およびリポ蛋白リパーゼ活性試薬の物品費に使用する計画である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Serum sitosterol level predicting ABCG5 or ABCG8 genetic mutations2020

    • 著者名/発表者名
      Nobuko Kojima, Hayato Tada, Soichiro Usui, Kenji Sakata, Kenshi Hayashi, Atsushi Nohara, Akihiro Inazu, Masayuki Takamura, Masa-aki Kawashiri
    • 雑誌名

      Clinica Chimica Acta

      巻: 507 ページ: 11-16

    • DOI

      10.1016/j.cca.2020.04.003.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hokuriku-plus familial hypercholesterolaemia registry study: rationale and study design.2020

    • 著者名/発表者名
      Tada H, Okada H, Yoshida S, ... Inazu A, ... Kajinami K, Takamura M, Kawashiri MA.
    • 雑誌名

      BMJ Open

      巻: 10 ページ: e038623

    • DOI

      10.1136/bmjopen-2020-038623.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高HDL血症の成因とCETP阻害薬2020

    • 著者名/発表者名
      稲津明広
    • 学会等名
      第60回臨床化学会 三井田孝会長(順天堂大学) JSCC国際学術シンポジウム
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 臨床検査ガイド2020年改訂版 分担 アポリポ蛋白2020

    • 著者名/発表者名
      稲津明広 大西宏明編集
    • 総ページ数
      1099
    • 出版者
      文光堂
    • ISBN
      9784830680373

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公開日: 2021-12-27  

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