研究実績の概要 |
家族性複合型高脂血症 (FCHL, familial combined hyperlipidemia) は家系内に超低比重リポ蛋白(Very Low Density Lipoprotein, VLDL)と低比重リポ蛋白(Low Density Lipoprotein, LDL)が増加する病態であるが,表現型( IIa, IIb, IV) が家系内で多様であること,また個人内で表現型が変動することが特徴である.その成因についてインスリン抵抗性やトリアシルグリセロール (TG) 代謝異常が推定されるが,遺伝子レベルでは十分に解明されていない. 今年度はアンジオポエチン様タンパク質(Angiopoietin-like protein 8, ANGPTL 8) はLipoprotein lipase (LPL) の阻害因子であり, ANGPTL 3やANGPTL 4と複合体を形成することでLPL阻害活性を調節し, 血管内皮でのLPL活性と脂肪細胞でのTG代謝調節に関与している. ANGPTL 8の多型であるR59W (c.175 C>T rs2278426) は日本人で頻度が高く, 血清脂質パラメータや2型糖尿病, 耐糖能異常との関連性が報告され,R59Wのホモ接合型ではTGが低下するが,LPL活性に及ぼす影響は不明である.そこで, 本研究ではin vitroでANGPTL 8 R59Wの活性を評価するために, 大腸菌発現系を用いてANGPTL 8野生型, R59W変異型の精製を行い, 合わせてANGPTL 3の発現条件を検討し,ANGPTL 8多型とANGPTL 3との複合体を過剰発現させる至適条件を導き出す予備実験を行った.
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