研究実績の概要 |
家族性複合型高脂血症 (Familial combined hyperlipidemia) はGoldsteinらが1973に報告されて以来,その成因は未だ不明である。本疾患はVLDL, LDLの2分画は変動して増加し、コレステロールとトリグリセリドの増加が単独または共存して増加することが同一患者で観察され,家族内に多発して異なる表現型の高脂血症や早発性動脈硬化性心疾患が発症する。この脂質異常は同時に高血圧症,肥満,インスリン抵抗性,脂肪肝を伴いやすい。少なくとも数個の遺伝子群が関与し環境因子のと複合による多因子性を有する症候群と考えられ,頻度は一般人の50~100名に一人と推定されており,原発性高脂血症としては最頻度である。 内因性のLPLインヒビターとしての可能性として,一般人集団における血清脂質値とアンジオポエチン様蛋白 (ANGPTL)8遺伝子の多型Xの表現型を190例で検討し,その多型X低頻度アレルで高HDL低TG血症との関連性を認めた.高TG血症に関与すると思われるLPL活性修飾因子として,ANGPTL3,ANGPTL4,ANGPTL8の増加によるLPL活性変動の可能性をin vitroで検討した。それぞれのANGPTL群の組換え蛋白を大腸菌で培養・精製し,LPL活性への影響を検討した結果,ANGPTL8の野生型は十分なLPL活性阻害を示した一方で、ANGPTL8の多型X型やANGPTL3、ANGPTL4のLPL活性阻害は想定よりも弱いものだった。in vitroのANGPLT8多型のLPL活性抑制の減弱はは血中表現型(高HDL低TG血症)と一致した。 さらに,ANGPTLの阻害作用を有するとされるアポA5の多型Yの検討を追加した.APOA5はLPLアクチベーターと想定されてきたが,ANGPTLへのインヒビターとしての活性についてAPOA5多型Yについて検討するため,APOA5を大腸菌培養を試みたが分泌不良であった。
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