研究実績の概要 |
本研究は、若年期の高食塩過剰摂取は成人期以降に発症する高血圧の原因かどうかを明らかにし、さらにこの若年期の高食塩負荷によって引き起こされる高血圧発症時 の交感神経活動を直接計測し慢性炎症反応に果たす役割を検討することを目的としている。そのため、1年目は、高食塩負荷のみによって高血圧が生じるかどうかを検討した。 【方法】3週齢のWistar系雄ラットを4つのグループ、Cont(通常食を摂取するコントロール群)、HS3(3-12週齢の期間に8%高食塩食を摂取する群)、HS7(7-12週齢の期間に8%高食塩食を摂取する群)、 HS3-7(3-7週齢の期間に8%高食塩食を摂取する群)に分けた。全群ともに12週齢時に動脈圧測定の為のカテーテルと心拍数測定の為の電極を慢性留置し、2,3日の術後回復の後、動脈圧と心拍数を3日間連続して計測した。 【結果】10週齢時点での各群の体重は、Con=347.7±9.2 g, HS3=323.9±6.8 g, SH7=361.08±5.0 g, SH3-7=335.7±4.8 gとなり、HS3群のみCont群に比べ有意に低い値を示した。動脈圧は、Con=103.4±1.8 mmHg, HS3=137.2±3.1 mmHg, SH7=112.8±3.0 mmHg, SH3-7=103.17±2.0 mmHgとなりHS3,HS7群においてCont群に比べて有意に高い値を示した。心拍数は、Con=371.2±6.3 beats/min, HS3=351.2±4.1 beats/min, SH7=334.8±5.8 beats/min, SH3-7=369.8±5.9 beats/minとなりHS3,HS7群においてCont群に比べて有意に低い値を示した。これらの結果から、通常のラット(遺伝的疾患の無)で高食塩食負荷のみで高血圧が発症することが示された。
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