研究実績の概要 |
1,5-アンヒドログルシトール (1,5-AG) は糖アルコールの一つで、糖尿病の血糖コントロール指標として用いられる。最近、1,5-AGが加齢・老化に関わる代謝物の一つではないかと議論されている。しかし、体内における1,5-AGの作用そのものについては明らかではない。本研究では、1,5-AGの抗酸化作用を介したインスリン分泌制御機構への影響と膵外分泌に対する影響を検討する。 2020年度では、1,5-AGのインスリン分泌誘導の有無を検討するため、ラット摘出膵のオルガンバス (ex vivo) 実験系を用いて1,5-AG添加により摘出膵臓からバス内にインスリンが分泌されるか検討した。さらに膵β細胞培養細胞株であるラットインスリノーマ細胞 INS-1E細胞でも、1,5-AG添加によるインスリン分泌の有無を検討した。両実験系において、1,5-AG単独では明らかなインスリン分泌誘導は認めなかった。 また、1,5-AGの酸化度・抗酸化力を確認するため、まず1,5-AG水溶液中の酸化度をReactive oxygen metabolites (d-ROMs) テストにて、抗酸化力をBiological antioxidant potential (BAP) テストにて検討した。1,5-AG水溶液の酸化度測定のd-ROMsテストでは、評価可能な数値を得られなかった。一方BAPテストでは、評価可能な数値を得られたものの水溶液中1,5-AG濃度に依存的な変化を認めなかった。
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