研究課題
本研究では、長鎖奇数鎖脂肪酸の抗炎症作用が骨の健康寿命の延伸に寄与できるかどうかを明らかとすることを目的として、マウスより採取した骨髄細胞や培養細胞から分化誘導した破骨細胞および老年性骨粗鬆症モデルマウスを用いて、これらシグナル因子の発現や翻訳後修飾の有無を通じて奇数鎖脂肪酸の抗骨粗鬆症作用機序の解明を試みた。マウス単球性マクロファージ様細胞RAW264.7やC57BL/6Jマウス大腿骨随より採取した骨髄細胞からM-CSFおよびRANKLを添加する際に、同時に脂肪酸の添加を行い、破骨細胞分化誘導の進行や抑制効果を確認した。破骨細胞特異的に赤色に染色されるTRAP(酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ;Tartrate-Resistant Acid Phosphatase)染色で評価した結果、C15:0やC17:0の奇数鎖脂肪酸は生理的濃度で顕著な破骨細胞分化誘導阻害効果を示した。その一方でC16:0やC18:1は分化誘導を促進した。また、C15:0やC17:0は破骨細胞分化誘導時に活性化するNF-kBシグナル経路を阻害していることが見出されたことから、具体的な破骨細胞分化抑制メカニズムの解明のため、RAW264.7細胞やマウス大腿骨由来骨髄細胞の破骨細胞分化時のプロテオミクス解析を行った。その結果、オートファジーや細胞ストレスに関連するタンパク質群の発現変動が顕著であり、その中にKeap1-Nrf2 signalに関与するものも含まれていた。そこで次に変動のあったタンパク質群からいつくか候補を選定し、Crispr/Cas9によって欠損させたRAW264.7細胞を作製した。そのうち、3種類のタンパク質の欠損によってC17:0の機能性がキャンセルされることを見出した。
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FEBS Letters
巻: in press ページ: in press
10.1002/1873-3468.14619.
巻: 596(24) ページ: 3211-3231
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