研究課題/領域番号 |
20K11639
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
池野 雅裕 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 准教授 (60612976)
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研究分担者 |
福永 真哉 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (00296188)
目谷 浩通 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (30330583)
永見 慎輔 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (60744042)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 鼻咽腔閉鎖機能 / 摂食嚥下障害 / 構音障害 / フレイル |
研究実績の概要 |
鼻咽腔閉鎖機能は,嚥下機能や構音機能において重要な役割を担っている。嚥下機能では,食物や水分嚥下時に,嚥下物が鼻腔に逆流することがないように口腔と鼻腔を遮断する役割がある。また,構音機能では言語を発する際にも口腔と鼻腔を遮断している。これらの機能が障害されると,嚥下障害による栄養摂取障害,構音障害によるコミュニケーション障害が必発し,ADLが低下しさらにはQOLも低下する。 本研究の目的は,鼻咽腔閉鎖機能低下を早期に発見し,これらの機能を維持・向上させるための予防プログラムを開発することである。従来,食事場面においてリアルタイムに鼻咽腔閉鎖機能を評価することは困難であったが,本プログラム開発後はリアルタイムフィードバックが可能となるとともに,医師,言語聴覚士以外の医療介護専門職のみならず地域高齢者でも使用できるようになる。また,本モニタリングツールは,高齢者や患者様の食事摂取場面でも応用利用が可能であり,現在の食事方法の安全性検証にも使用できる. 研究計画における令和3年度の実施内容も,令和2年度に引き続き約50名を対象とした予備調査とモニタリングツールの作成であったが,新型コロナウイルスの感染がさらに拡大し,研究協力施設である介護老人保健施設での予備調査が実施できなかった。そのため,当初の研究計画を変更し,令和3年7月からは現在発売されている鼻音化率測定装置は,音圧を測定することにより鼻漏出を測定しているが,本研究では音圧以外の生体反応に着目しているため,これらの機器の検討に着手し,令和4年度からは令和3年度に予定していたデータ収集を再開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度は,研究協力施設である介護老人保健施設に入所中で鼻咽腔閉鎖機能に障害を有する高齢者の実態を把握し,対象者50名を選出するための予備調査を行う予定であった.しかしながら,新型コロナウイルスの感染拡大により,研究代表者の所属する施設からの移動制限に加え,研究協力施設においても所属する職員以外の入館制限があり,研究実施のための往来が困難な状況であった.また,本プログラムは今後,介護予防教室など地域高齢者が多く集う場所においても利用促進を想定しており,現介護予防教室等における実態把握を実施予定であったが,これについても新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,介護予防教室自体の開催が中止となった.
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は,令和2年度に実施予定であった介護老人保健施設に入所中の高齢者を対象とした予備調査を実施する.さらには,本研究において開発する予防プログラムでは,鼻咽腔閉鎖機能について,検証を行うため,既存の鼻音化率測定装置と本研究で開発するプログラムにおける検証結果の整合性を検討する.また,健常者においても,出身地域,方言使用の有無により,鼻音化率は変動する可能性が起こり得るため,若年健常者を対象としてこれらの分析も併せて実施する予定である. また,今回は新型コロナウイルスの感染により,介護予防教室が中止になるという事態が起こっているため,地域高齢者が利用できるプログラムを開発することはもちろんのこと,自宅にいながらでも予防のためのプログラムが実施できるような方略を提案できるよう検討を重ねていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定では,令和3年度に予備実験を行う予定であったが,新型コロナウイルス感染拡大の影響が続き,予備実験の実施が困難であった。よって,本調査で使用する機器の調整,データ同期のための機器開発を前倒しするために,機器を購入したため助成金の使用額に変更が生じた。今後の使用計画として,今年度は,若年健常者と健常高齢者を対象に生体計測装置と鼻音化率測定のデータ同期における信頼性確認の検討を実施する。また信頼性確認においては,姿勢や被験文の影響も検討するために,これらの条件についても実施する。
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