研究課題/領域番号 |
20K11642
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研究機関 | 別府大学 |
研究代表者 |
仙波 和代 (後藤和代) 別府大学, 食物栄養科学部, 教授 (30381031)
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研究分担者 |
陶山 明子 別府大学, 食物栄養科学部, 教授 (50721437)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 免疫 / 抗体 |
研究実績の概要 |
J774(マウス由来マクロファージ)を用いて、ミネラルによる反応性の検討を行った。以前樹状細胞で行った予備実験においては、天然「湯の花(ハロトリカイト)」に免疫を活性する成分が含まれていたため、今回、化合物として以下に示す6つの成分の物を用いた。①硫酸カリウム ②硫酸アンモニウム ③硫酸アンモニウム鉄 ④アルミニウム ⑤硫酸カリウムアルミニウム ⑥メチルスルフォニルメタン(有機硫黄) J774細胞に上記の化合物を添加し、表面抗原MHCをFACSにて解析するとともに、TNF-αとIFN-γのサイトカインの解析を行った。またマウスの脾臓細胞を分離培養し、ex vivoにおいて上記の化合物を添加し抗体産生の解析を行った。 J774細胞表面抗原は、硫酸カリウムアルミニウム及び硫酸アンモニウムにおいてMHCclassIに若干増加傾向を認めたが、コントロールと比較して有意な差は認められなかった。またTNF-α及びIFN-γをELISAにて解析したが、こちらも大きな差は確認できなかった。予備実験においてハロトリカイトをJAWSII細胞に添加するとIrak-4の遺伝子上昇が確認できていたので、IFN-γの上昇を期待したが本実験では認められなかった。次年度は条件を変更して再度行う予定である。また脾臓細胞における抗体産生においては、全ての化合物添加でIgAの若干の上昇を認めたが、有意差は認められなかった。次年度はIgGの検討も行う予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題は令和2年度よりスタートさせたが、準備が整い本格的な実験に入る際にコロナ期となった。初期の頃は学内の授業や他の新たな業務に追われ実験時間の確保が難しかったこと、途中からは実験試薬等の発注から受け取りまでの時間が長くなったこと、さらに円安の影響で計画していた内容の細胞や試薬が買えなくなったことが研究の遅れの大きな原因である。特に実験試薬等の受け取りは、半年以上の時間を費やす事も何度か経験し、また細胞等の購入に関しては、時間がかかった上に古い物が届き、そこから増殖させるのに数か月もの時間を費やした経緯がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本実験の最終年度であるが、実験が遅れているため可能な限り実験時間を確保する予定としている。またそれでも遅れが取り戻せない場合は期間延長も考慮する予定である。今年度は以下の実験を行う。 1)J774、JAWSII、NCL細胞にSを含む化合物を添加し、細胞性免疫と液性免疫の活性化の検討を行う。細胞性免疫の指標としてはTNF-αを用いて、また液性免疫はNCLの細胞培養液中の抗体を測定することにより行う。 2)加齢や腫瘍等により免疫が低下しているマウスに、ミネラル系の化合物で刺激を与えた細胞を移入することで、免疫低下を補填可能か否かの実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
全体的に研究が遅れているために差額が生じてしまっている。 今年度は、再度実験条件を変更して化合物による細胞性免疫活性化の確認を行うため、ELISAキットの購入費として使用する。 また後半は、マウスを用いて免疫低下を補填できるか否かの検討を行うため、実験動物の購入や維持費として使用する。
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