研究課題/領域番号 |
20K11645
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
飯塚 勝美 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (40431712)
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研究分担者 |
堀川 幸男 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (10323370)
矢部 大介 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60378643)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ChREBP / 酢酸 / 腸内細菌 |
研究実績の概要 |
糖質の過剰摂取は、肥満、脂肪肝、糖尿病、脂質異常症をきたすことが知られる。また特に果糖の過剰摂取は過敏性超症候群を引き起こすことが知られる。我々は、ChREBP-/-マウスを用いて、ChREBP抑制による抗肥満作用、抗脂肪肝作用を報告したが、ChREBP抑制によりフルクトース不耐症、スクロース不耐症などの過敏性腸症候群をきたすことを明らかにした。 さらに我々の検討では、二糖類の分解を障害することで、腸内細菌叢の変化とともに上記症状が悪化することを既に報告した。腸内細菌叢により産生される短鎖脂肪酸には食欲抑制、インスリン分泌増強など種々の生理活性を持つため、炭水化物の違いにより酢酸の産生量に変化が生じるかを本年度はまず検討した。 腸内細菌により産生された酢酸は肝臓でアセチルCoAに変換され、脂肪酸合成やヒストンアセチル化に利用される。そこで、野生型およびChREBPノックアウトマウスに対して、高スクロース食を投与し、1週間後に採血、虫垂量、肝臓の脂質及び酢酸含有量、ヒストンアセチル化を検討した。高スクロース食負荷では、野生型マウスにくらべChREBPノックアウトマウスでは、虫垂の著明な重量増加、酢酸産生菌の増加とともに酢酸含量の増加が見られた。他方、肝臓グリコーゲン含有量の増加、肝臓内トリグリセリド含量の低下が見られたが、肝臓内のアセチルCoA含量、酢酸含量には両群で有意差は見られなかった。最後に肝で酢酸をアセチルCoAに変える遺伝子のヒストンアセチル化の亢進が見られた。以上から、ChREBPの抑制状態では、酢酸は脂肪酸合成でなく、ヒストンアセチル化に利用されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ下であるが、当初の予定通り、研究が進んでいると思う。マウスの継代にについても特に問題がない。マウスの飼料の作成や試薬の入手に関しても、海外から発注するため、コロナウイルスの影響のため当初遅れが出たが、現在は問題がない。実験手技についても、今まで通りの手法であり、特に困難は見られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
まず昨年度の研究で実験の再現性が得られたため、今年度は薬剤により腸内細菌叢を変化させた状態で、高スクロース食や高スターチ食負荷の違いにより、腸内細菌で作られる酢酸産生能の変化とマウス個体での酢酸利用で生じる変化について検討していく。
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