研究課題/領域番号 |
20K11650
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
小野 道子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (60805969)
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研究分担者 |
石川 みどり 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (90412874)
安村 誠司 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50220158)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 福島第一原子力発電所事故 / 避難者 / 肥満 / 中食 / 食行動 |
研究実績の概要 |
2011年3月に発生した東日本大震災(以下“震災”)とそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故(以下“原発事故”)以来、被災地では避難区域住民で肥満の割合が増加したことやメタボリックシンドロームの発症率が非避難者に比べて避難者で高いことが明らかとなっているが、避難生活を強いられた被災者が具体的にどのような食行動をとるようになった結果肥満に至ったのかまでは、明らかになっていない。避難者からは「田畑で農作業することが無くなり生きがいを失った」「野菜は購入してまで食べない」などの発言があり、避難によって自宅とは異なる環境で生活せざるを得なくなったことに由来する、震災と原発事故以前の食行動とは違ったことが伺われた。そこで本研究では、「避難先の自宅でない生活環境は、人々の食行動をどう変化させたのか」避難者の肥満は自宅でないところでの生活環境が避難者のライフスタイルを変化させた結果であるが、その詳細について、中食を中心とした避難者に特有の食行動の変化を捉えることで、肥満発生に至ったメカニズムを食行動の面から明らかにすることを目的とした。 初年度は、避難を経験した住民を対象にインタビュー調査を行い、震災と原発事故前からこれまでの10年間の生活環境の変化と中食を中心とした食行動について詳細を把握し、その結果を基に内容分析を行い、質問紙調査票の作成を行うことを予定していた。しかしながら、初年度当初から新型コロナウイルス感染症拡大により、調査対象者の選定に時間を要したため、インタビュー調査開始時期が当初の予定より大幅に遅れた。 現在、当該地域の保健医療職の協力が得られ、避難経験のある被災地住民の同意の上、インタビュー調査が開始しており、一部内容分析を行うところまですすめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度(初年度)、新型コロナウイルス感染症拡大により全国的に混乱が発生したため、インタビュー調査開始のめどが立たない状況が長期間に及んだ。そのため、その間、調査対象者の協力を得るために関係機関との連絡調整を行いつつ、先行研究等の整理と研究計画の精査・作成を行った。2021年年始に、当該地域の保健医療職の協力が得られることになり、避難経験のある被災地住民を紹介してもらい、倫理審査の承認を以って当初の計画どおりインタビュー調査を開始した。現在、インタビュー調査の途中にあるものの、一部内容分析を行えるところまで作業が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症による影響から、初年度予定していたインタビュー調査とアンケート調査票の作成は完了していない状況である。しかしながら、当初予定していた研究の順序は変えないで進める方針である。 2021年度(2年目)は、アンケート調査の実施を予定していたが、今年度中に調査対象地域との連絡調整を行いつつ、スムーズに協力が得られる体制を整えて備える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大により、予定していた関連する国際学会に参加することができなかったことが大きな理由である。また、初年度予定していたインタビュー調査開始が大幅に遅れたことで、調査自体に係る費用の発生が未完である状況である。今後、新型コロナウイス感染症の状況を見ながら、調査対象者の健康と安全を確保することを第一に考えて感染症対策を万全に期してインタビュー調査を行っていく予定である。
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