研究課題/領域番号 |
20K11650
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
小野 道子 福島県立医科大学, 医学部, 客員研究員 (60805969)
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研究分担者 |
石川 みどり 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (90412874)
安村 誠司 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50220158)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 中食 / 食行動 / 東日本大震災 / 肥満 / 生活習慣病 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症の影響で遅延したインタビュー調査を2021年度に引続き実施した。このまとめは2022年7月に開催された第71回東北公衆衛生学会で発表した。 震災と原発事故で避難を経験した被災者(12名)を対象に、震災前から震災直後・現在までの『食材の調達方法』『料理する場面(調理環境)』『食事する場面(食卓を囲む時)』『食事観』について尋ねた。『食材の調達方法』では、震災前は野菜や果樹を自家栽培して食べていたが震災以降栽培をやめた、地場産のきのこ類や魚介類・海藻類は食べなくなったケースがみられた。『料理する場面(調理環境)』では、特に仮設住宅ではキッチンが狭くて冷蔵庫等の家電が入りきらず、天ぷらやから揚げなど“揚げる”調理を安全に行えないと判断しスーパーで総菜を購入することがあった。『食事する場面(食卓を囲む時)』では、家族が少数に分かれて避難した場合1~2名で食事をするため、中食(惣菜や弁当等)を利用するケースがみられた。また、同居していても世代差や嗜好の違いのため、自分の食べたいものをスーパーやコンビニで購入し、自宅で料理したものと組合せて食べる行動をとる者もいた。さらに調理担当者は、家族に食事を提供する際に、主食と汁は銘々に盛付けて提供しても“おかず”は家族全員分を大皿に盛付けて提供し、家族が食べる際にそれぞれ自分が食べる分を取り分けて食べていた。これは震災以前からの習慣と伺われた。『食事観』では、メニューを考える際に、一緒に食べる家族の年代や疾患に配慮して食材購入・調理し、家族構成により調理したり購入したりする料理は変化していた。 被災者家族の人数は、家族が迎えるライフイベントや震災による避難により頻回に増減していた。被災地の肥満者増加の要因と機序を検証するには、震災前から現在までの食行動の変化と家族人数の増減を考慮する必要があると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症による影響により、最初のインタビュー調査が実施できない期間があった。2022年度までに行ったインタビュー調査結果を基に作成したアンケート調査の実施は、2023年度に行うこととなった(研究期間1年延長)。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート調査の対象者地域の選定は2022年度内に決定した。2023年9月にアンケート調査を実施する運びとなった。アンケート調査実施後は速やかに分析できる体制を整えており、年度内に学会発表、及び論文作成投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症による影響に良い、調査が遅延した為
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