酸素と結合するグロビン蛋白質は、酸素代謝能力の向上や酸化ストレスの軽減に貢献すると考えられているが、その生合成シグナルについては未解明な部分も多い。本研究の目的は、グロビン蛋白質の生合成メカニズムを明らかにし、生活習慣病予防に関わる知見を得ることである。令和2年度は、グロビン蛋白質の1種であるミオグロビンの発現解析のデータをまとめ、国際学術雑誌Physiological Reportsに投稿し受理された。この成果は、cAMPシグナルの活性化がミオグロビン発現の増加を引き起こすことを明らかにしたものである。cAMPアナログ、カフェインはミオグロビン発現を増加させたが、リアノジン受容体アゴニストによる影響はなかった。また、PKA阻害剤によって、カフェイン誘発性のミオグロビン発現は有意に抑制された。 本研究では、動物愛護の観点からマウスやラットの代替実験動物として注目されている小型魚類であるゼブラフィッシュを用いているが、COVID-19の感染拡大により実験室での実験が制限されたこともあり、令和2年度は食餌性肥満モデルを作製するに留まった。
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