研究課題
本研究では,現代的組合せにおいて重要な位置を占めている論極値集合論およびそこで中心的役割を果たす確率的組合せ論について,情報科学における新しい応用方法を確立し,同期用系列や高速情報圧縮回路,量子誤り訂正といった分野において活躍させ,ひいては極値集合論と確率的組合せ論の発展にも寄与することを目的とする.初年度及び翌年度においては,主に情報圧縮回路としてのX-符号や関連する組合せ符号についての新しい限界式の導出に成功し,国際会議等でその成果を発表している.最終年度においては符号理論と同期問題について主に考察し,確率的組合せ論の新しい応用例を多数提案することに成功した.中でも,効率的同期符号を構成することができるdifference system of sets(DSS)と呼ばれる組合せ構造について,Levenshtein限界と呼ばれるその理論的性能限界式が古くから知られているが,実際にこの理論限界を漸近的にであれ達成するようなDSSが一般に存在するかという根源的問題を,本研究では肯定的に解決した.これは50年以上未解決であった符号理論と組合せ論における問題であり,洗練された確率的組合せ論を応用することで初めて成し得たことである.またアルゴリズム論的考察により,実際にこの漸近的最適DSSの線形時間での構成法も提示した.このLevenshtein限界の漸近的到達可能性及び効率的構成問題の肯定的解決により,種々の関連する符号理論と組合せ論の発展が見込まれている.
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Proceedings of the 2023 IEEE International Symposium of Information Theory
巻: to appear ページ: to appear
Proceedings of the 2022 IEEE International Symposium of Information Theory
巻: Aug ページ: 784-789
10.1109/ISIT50566.2022.9834680