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2021 年度 実施状況報告書

劣線形時間パラダイムの展開

研究課題

研究課題/領域番号 20K11671
研究機関電気通信大学

研究代表者

伊藤 大雄  電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (50283487)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード定数時間アルゴリズム / 劣線形時間アルゴリズム / 漸進型アルゴリズム / オンラインアルゴリズム / 競合比
研究実績の概要

本研究では研究代表者の提案している「劣線形時間パラダイム」を広く展開するための理論研究を行っている。2021年度の主な成果は以下の通りである。 (I) 漸進型アルゴリズム(progressive algorithm)の結果をまとめた論文が論文誌に採録・出版された。「漸進型アルゴリズム」とは、データを徐々に読み込みながら段々と精度の高い解を求めていく手法であり、研究代表者によって提案されたものである。我々はこれまでに、「定数時間アルゴリズム」と「全てのデータを読み込む線形以上の計算時間のアルゴリズム」の両者が存在する任意の問題に対し、オーダの意味での各々の計算時間を悪化させることなく、両者を円滑に繋げる漸進型アルゴリズムが構築できることを証明した。これは片側誤り、両側誤りどちらにも適用可能であり、また本技法はグラフに限らず、どのような対象、モデルに対しても適用可能であると考えられ、非常に一般性のある結果である。(II) 機器をスリープ状態にしておくことで再起動の際の時間やエネルギー消費量の節減を図る制御は広く行われている。しかしスリープ状態は少しだが電力を消費し続けるので、長く保つと逆に損になる。この問題はオンライン問題の一種の「スキーレンタル問題」という形で定式化され、その競合比(小さいほど良く、1が最適)は2でこれ以上改善出来ないことが既存研究によって証明され、それが常識とされてきた。しかしその競合比2を与えるアルゴリズムは、最悪に備える為に多くの場合で明らかに無駄と考えられる動作をせざるを得なかった。そこで担当者は、競合比を2+ε(∀ε>0)と僅かに緩和することで、多くの実用的な場合にほぼ無駄が無い様に制御する方法を考案した。その結果を論文誌に投稿し採録・出版された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

漸進型アルゴリズムの論文が採録・掲載され、さらにスリープ状態制御問題の結果の論文も採録・掲載された。これらの結果から、現段階の成果としては十分なものと考える。

今後の研究の推進方策

今後は劣線形時間アルゴリズムとしては複雑ネットワークに対する定数時間アルゴリズムや一般化したゲーム・パズルの定数時間アルゴリズムを、線形・多項式時間アルゴリズムとしては折り紙や広義K_3辺被覆問題の拡張に挑む。他に離散幾何学上の新たな問題や未解決問題などにも挑む。

次年度使用額が生じた理由

コロナの影響で研究活動に制約があり、具体的には、旅費(招聘を含む)や講演謝金などの支出が無かったため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [国際共同研究] Univ. Nevada, Las Vegas/MIT(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Univ. Nevada, Las Vegas/MIT
  • [雑誌論文] Sublinear computation paradigm: constant-time algorithms and sublinear progressive algorithms2022

    • 著者名/発表者名
      Kyohei Chiba and Hiro Ito
    • 雑誌名

      IEICE Transactions

      巻: E105-A ページ: 131 -- 141

    • DOI

      10.1587/transfun.2021EAI0003

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Decrease and reset for power‐down2021

    • 著者名/発表者名
      James Andro-Vasko, Wolfgang Bein, Hiro Ito, Shoji Kasahara, and Jun Kawahara
    • 雑誌名

      Energy Systems, Springer

      巻: September ページ: 1 -- 27

    • DOI

      10.1007/s12667-021-00475-3

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2022-12-28  

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