研究課題
本研究は量子コンピュータ時代にも適した共通鍵暗号技術の開発に向け、主要な共通鍵暗号技術を取り上げ、これらの安全性解析を古典的攻撃と、量子攻撃の両方の観点から行うもので、本年度は主に下記の成果を得た。1) ブロック暗号の構成について、とくに秘密鍵の鍵長と安全性のトレードオフに関する研究を進めた。鍵長は鍵の共有、保管、更新の観点から、短い構成が望ましいが、安全性を損なう可能性がある。通常のFeistel暗号を含む一般化Feistel暗号であるContracting Feistel暗号を研究対象とし、構成要素として、tweakableブロック暗号を用いた方式を扱った。これらの鍵がすべて同じ場合の構成について、繰り返し回数(ラウンド数)と古典的安全性のトレードオフを明らかにした。より詳細には、全体の入出力長がdラインからなるブロック暗号を構成し、繰り返し回数がd以下では安全ではないこと、d+1では安全性証明が可能であること、d+1より大きい回数繰り返しても安全性が向上しないことを明らかにした。さらに、これらの結果を暗号学的置換の構成に応用し、繰り返し回数に関わらず安全にはなりえないことを明らかにした。また、ラウンド定数を導入した構成の安全性を解析した。2) IEEE標準のディスクセクタ暗号化方式であるEME2の基となった方式であるEMEについて、量子クリエが可能であるという状況での平文回復攻撃、偽造攻撃に関する安全性解析を行った。また、ディスクセクタ暗号化方式に関する一連の研究の最初期に提案されたCMCについて、同様の設定で平文回復攻撃、偽造攻撃に関する安全性解析を行った。
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IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: Vol.E107-A, No.8 ページ: -
10.1587/transfun.2024EAP1006