研究実績の概要 |
4辺支配集合問題に関する研究 b-辺支配集合問題は,辺支配集合問題を一般化した問題のひとつである.各辺eに必要支配数b_eが割り当てられた無向グラフGを入力とし, Gの任意の辺eをb_e回以上支配する辺集合の中で最小なものを計算する問題である.全てのeについてb_e=1である時に通常の辺支配集合問題と一致し,NP困難であるが2倍近似可能であることが知られてる.更に,どのeについてもb_eが3以下である場合も,やはり2倍近似可能であることが知られていたが,それ以外の場合は,b_eに上限がない場合と同じ8/3が現在知られている最良の近似保証となっている.本研究では,b_eが4以下の場合,即ち4辺支配集合問題に対し,b-辺支配集合とb-マッチングの関係を利用する主双対近似アルゴリズムを設計し,2倍近似可能であることを示した. Power版次数制限除去問題に関する研究 グラフG=(V,E)から頂点集合Cを除去して得られるGの部分グラフをG-Cと表すとき,次数制限除去問題(BDD)では,入力グラフGに対し,G-Cの各頂点次数がb以下となるような最小のCを計算する問題である.本研究では,まず,BDDをPower版BDD(PBDD)へ拡張する.PBDDでは,Gの各辺{u,v}に2種類の重みw(u,v)とw(v,u)が付随しており,頂点uにw(u,v)以上のpower p(u)を割り当てる,もしくは,頂点vにw(v,u)以上のpower p(v)を割り当てることを,辺{u,v}削除の条件とし,辺削除後のグラフが次数制限を満たすようなpower和最小のpower割り当てを計算する問題である.BDDはPBDDの特殊なケースに相当することを容易に示すことができる.続いて,BDDに対して知られている最良の近似保証と同じ2+log bで,PBDDも近似可能であることを示す.
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