研究課題/領域番号 |
20K11680
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
神山 直之 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (10548134)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 頂点被覆問題 / カーネル化 |
研究実績の概要 |
令和2年度は,初めに研究実施計画に記載されている3つの主要テーマ「頂点被覆問題に対するカーネル化における最低次数に関する研究」「頂点被覆問題に対する近似カーネル化に関する研究」「d-Bounded-Degree Vertex Deletion Problem に対するカーネルの改良」に関する調査を行なった.1つ目のテーマである「頂点被覆問題に対するカーネル化における最低次数に関する研究」に関しては,Fellows 等の論文を調査することにより研究すべき課題の発見に成功し,その課題の解決のために過去の手法の調査を行なった.また,2つ目のテーマである「頂点被覆問題に対する近似カーネル化に関する研究」に関しては,Manurangsi の論文の調査を行なった.そして,3つ目のテーマである「d-Bounded-Degree Vertex Deletion Problem に対するカーネルの改良」に関しては,Xiao の論文を調査することにより,結果の改良に関する観察を得ることには成功したが,論文としてまとめる程十分な成果を得られる段階には至っていない.また,3つ目のテーマを研究する中で,頂点被覆問題の拡張の一つであり,技術面で d-Bounded-Degree Vertex Deletion Problem と非常に関連の深い p-Size Separator Problem に関する研究も行なった.この p-Size Separator Problem に関しては,これまでの結果の拡張に関する手がかりが得られた.さらに,頂点被覆問題の別の拡張である木における多点対カットに対するカーネル化に対する,近似アルゴリズムにおける技法の活用可能性に関する考察も行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度の本研究課題の進捗状況に関しては,以下の理由により「おおむね順調に進展している」と言える.まず,令和2年度は本研究課題の初年度であり,その多くの時間を関連する問題の調査に当てる計画であったため,その調査が概ね完了し,さらにいくつかの課題を発見することができたため順調に進展していると言える.また,当初計画していたテーマのみならず,研究する中で新たなテーマを発見することができ,さらにその新たなテーマに関して令和3年度以降に繋がる観察を得ることができたため順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は,まず令和2年度に進展のあった p-Size Separator Problem のカーネル化の結果に関する拡張の研究を中心に進める.このテーマに関しては,現在得られている成果がどこまで一般化可能であるかを研究し,論文等の成果としてまとめることを目指す.また,「頂点被覆問題に対するカーネル化における最低次数に関する研究」に関しては,令和2年度に課題として見つかった問題を解決するために,まず過去の成果の調査を引き続き行う.その後,令和3年度中にこの課題を解決することを目指す.また,「d-Bounded-Degree Vertex Deletion Problem に対するカーネルの改良」に関しては,p-Size Separator Problem に関する成果がまとまった後,この問題で得られた知見を活かし,例えば d-Bounded-Degree Vertex Deletion Problem と p-Size Separator Problem を融合した問題への得られた技術の適用可能性に関する研究を行う予定である.そして,「頂点被覆問題に対する近似カーネル化に関する研究」および木における多点対カットに対するカーネル化に関しては,令和3年度も引き続き調査を行い,既存成果の拡張可能性に関する研究を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度は,研究打合せや研究会における情報収集等のための旅費等に予算を割り当てていたが,covid-19 の影響でこれらの予算を使用しなかったため,次年度使用額が生じた.令和3年度に繰り越した予算は,社会情勢が十分落ち着いた後,研究打合せや研究会における情報収集等のために使用する予定である.
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