研究課題/領域番号 |
20K11705
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
本田 敏雄 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (30261754)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 超高次元データ / 線形分位点回帰モデル / 前進型変数選択 / Cox回帰モデル |
研究実績の概要 |
2021年度においては、超高次元線形分位点回帰モデルに対する前進型の変数のスクリーニング法に関して研究成果をあげ、国際誌に投稿した(査読中)。加えて招待により、日本統計学会和文誌のため、高次元Cox回帰モデルに関する解説論文を執筆した(査読中)。詳細は以下の通りである。 超高次元データの場合には、計算上の理由により標準的な高次元データ解析法を用いる前に、説明変数の数を一定数にまで減らすことが必要である。そのため、標準的なモデルに対しては様々な説明変数スクリーニング法が提案されてきた。様々な説明変数のスクリーニング法の中でも、前進型の説明変数のスクリーニング法は、モデルの情報を活用しかつスクリーニング一致性を持ちながら、これまでの研究論文でのシミュレーションによれば、誤選択率が低いことが知られている。線形分位点回帰は極めて広く使われている標準的な手法にも拘わらず、前進型の説明変数のスクリーニング法に関しては十分に研究されていなかった。そこで超高次元線形分位点回帰モデルに対する前進型スクリーニング法について、国際共同研究により、理論面、数値面での研究を進めその研究成果を"Forward variable selection for ultra-high dimensional quantile regression models"という論文にまとめ、国際誌に投稿、国内外の学会で発表した。 また日本統計学会和文誌からの招待により、生存時間分析できわめて重要なCox回帰モデルについての、高次元データの場合における重要な研究結果をまとめた解説論文"高次元Cox回帰モデルの統計的推測について"を作成した。解説論文ではあるが、実務家も対象とした、現在も研究が進んでいる重要なテーマに関する日本語による唯一の解説論文であり、大きなインパクトがあると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度に引き続き、超高次元データに対する前進型の変数のスクリーニング法に関して大きな研究成果をあげることができ、実務家にとって有用と思われる高次元Cox回帰モデルに関する解説論文も執筆した。さらに2021年度においても、本研究の研究目標である超高次元下での統計的推測に関する研究の準備も進めることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでコロナ禍の影響により海外との研究交流が大幅に制限されており、2022年度も引き続き海外との研究交流が影響されることが予想されるため、研究期間の1年延長を行う予定である。 2020年度、2021年度と、超高次元データに対する前進型の変数のスクリーニング法に関して研究成果を上げることができたため、この前進型の変数のスクリーニング法に関する研究を継続する。最新の研究動向に注意しながら、これまでの準備と研究成果を踏まえ、2022年度、2023年度において、超高次元下での統計的推測に関する研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)2021年度も世界的なコロナ禍が収束せず、海外出張、国内出張が全くできず、出張旅費が未使用となった。結果として、2020年度、2021年度の出張費の累積が次年度使用となった。 (使用計画)研究用の書籍、PC関連の物品の購入を行う。ただしコロナ禍の影響は2022年度もある程度は続くとみられ、国内外への出張は当初の予定通りには実施できないと思われるため、研究期間の1年延長を行う予定である。
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