研究課題
本研究では,従来の手法ではその背後にある現象から有効な情報の抽出が困難なデータの中でも,時間・空間で変動する高次元データに対して,関数データ解析法による新たな統計モデルの理論的・実践的開発を行った.具体的には,(1)高次元データの関数データ化,(2)関数データ集合に対する解析モデルの開発,(3)医学・工学データに新モデルを適用する実践研究から構成し,(1)と(2)の理論的研究と(3)の実践的研究を連携させるフィードバック型の研究である.(1)については,研究期間全体を通して,動径基底関数とBスプラインを組み合わせた関数や,Brnstein関数,合成基底展開についてその性質を検討した.特に2022年度には,階層構造を持つ経時的・空間的変動を捉えるため,ガウス過程とそのベイズ推定を設計し,その際に,カーネル関数の分散に各基底関数の中心の距離を用いることを提案し,その有用性を数値実験により示した.(2)(3)については,汎化性を意識しつつ,工学・医学分野と協働して特定のデータ対象とした統計モデルの開発を行った.すでに研究代表者が提案済みの関数一般化線形モデルと,高次元データに対して合成基底関数による関数ロジスティックモデルを用いて,関数構造方程式モデルについて検討した.また,経時測定データが共変量にある場合の生存時間解析において,関数化データの凸クラスタリング手法を開発した.さらにその群をCoxPHモデルの共変量として生存時間の推測を行う手法を検討している.新生児ホルモン分泌経時測定データは高次元経時測定データであるが,研究期間全体を通じて多層構造を扱える分位点回帰モデルを開発し,国際誌に採択され大きな成果を得た.多層データである手話学習者データについて,初めて関数主成分分析を適用した論文を発表した.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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https://www.math.is.tohoku.ac.jp/~arakilab/