現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は未観測共通原因を同定する方法について検討した。具体的には、因子分析的な測定モデルとLiNGAMモデルを組み合わせて、潜在因子を同定しつつ、その潜在因子間の因果構造を扱うモデルをつくった。
ガウス分布に含まれている情報は平均と共分散に全て含まれているが、非ガウス分布の場合は、分布の歪み方や尖り方にも情報が含まれている。そのようなガウス分布にはない情報を用いることで(Shimizu et al., 2006; 清水, 2017; Shimizu, 2019)、未観測共通原因があり、巡回性を許すモデルの識別性を確保することを検討する。特に、未観測共通原因がある場合の推定については、線形の場合には未観測共通原因の影響がモデル上は観測ごとの切片の違いに現れること(Shimizu & Bollen, 2014)を利用してベイズ階層モデルの枠組みにおける推定に持ち込むことを考える。
多変数の場合の推定については、未観測共通原因の存在を許せるなら、2変数の分析に落とし込んでも妥当性を失わないことから、2変数あるいは少変数の因果探索を繰り返す推定アルゴリズムが構築できると予想する。方法論研究と並行して、マーケティング分野および生命科学分野のデータへの適用を行い、 方法論の方向性を改善および発展させていく。その応用領域ごとに興味の対象となる非線形性、例えば交互作用や天井効果等を取り入れて分析できるようにしたい。
|