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2020 年度 実施状況報告書

標本分布の歪みに対処した新たな高次元統計解析の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K11712
研究機関神奈川大学

研究代表者

兵頭 昌  神奈川大学, 経済学部, 准教授 (00711764)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード歪度 / 漸近正規性 / エッジワース展開 / 一致性
研究実績の概要

高次元データ解析において、平均ベクトルの同等性検定のための検定統計量の近似分布として正規分布が利用される。高次元における検定理論では、このような正規近似が主流であり、次元が1,000~10,000程度であれば実用上十分な精度を有することが既に明らかにされている。一方で、次元が10~500程度(中程度)の場合は、高次元統計解析における検定統計量の実際の分布は、正規分布に比べて歪みをもつため正規近似の近似精度が極端に悪化するという問題がある。本研究では、検定統計量へ適当な変換を施すことで、標本分布の歪みを緩和させることを目的とした。研究課題(A)「 平均ベクトルの同等性検定における検定統計量を改良し、それを利用した検定を提案することを目的とする。」について、正規化変換を導出し、それが分布の歪みを補正する近似になっていること、従来の正規近似を収束レートの意味で改善していることを理論的に示した。さらに、漸近検出力関数を導出し、数値シミュレーションによる有限次元・有限標本における理論的結果の精度検証を行った。これらの結果は学術誌へ投稿中である。また、研究課題(B)「多変量分散分析における検定統計量の近似分布を改良し、それを利用した検定を提案すること」に関して、高次元における2元配置分散分析法を提案した。この結果は、学術誌へ掲載が決定した。さらに、研究課題(C)「(A)で導出した結果を応用した多変量多重比較法を提案すること」に関して、研究課題(A)を応用した方法を提案した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、研究が進んでいる。また、「一般化分散に関する検定」、「高次元ランダムベクトルの独立性の検定」、「ユークリッド判別分析における変数選択問題」に関する結果も得られた。

今後の研究の推進方策

研究課題(B)「多変量分散分析における検定統計量の近似分布を改良し、それを利用した検定を提案すること」に関して、(A)を応用した手法を提案し、漸近検出力関数を導出し、数値シミュレーションによる有限次元・有限標本における理論的結果の精度検証を行う。研究課題(A)について、共分散構造によっては、そもそも極限分布が正規分布でない場合があることがわかった。そこで、このような場合の理論的な考察を行い、適切な対処を考える。研究課題(C)「(A)で導出した結果を応用した多変量多重比較法を提案すること」に関して、シミュレーションなどの数値的検証を行う。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルスの感染拡大防止のため、参加を予定していた学会や研究打ち合わせが、すべてオンライン開催となったため、計画通りに旅費を執行できなかった。これらの費用は、2021年度の旅費へあてる予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] スウェーデン王立工科大学(スウェーデン)

    • 国名
      スウェーデン
    • 外国機関名
      スウェーデン王立工科大学
  • [雑誌論文] Kick-one-out-based variable selection method for Euclidean distance-based classifier in high-dimensional settings2021

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa Tomoyuki、Watanabe Hiroki、Hyodo Masashi
    • 雑誌名

      Journal of Multivariate Analysis

      巻: 184 ページ: 104756~104756

    • DOI

      10.1016/j.jmva.2021.104756

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Two-way MANOVA with unequal cell sizes and unequal cell covariance matrices in high-dimensional settings2020

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Hiroki、Hyodo Masashi、Nakagawa Shigekazu
    • 雑誌名

      Journal of Multivariate Analysis

      巻: 179 ページ: 104625~104625

    • DOI

      10.1016/j.jmva.2020.104625

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Testing for independence of high-dimensional variables: ρV-coefficient based approach2020

    • 著者名/発表者名
      Hyodo Masashi、Nishiyama Takahiro、Pavlenko Tatjana
    • 雑誌名

      Journal of Multivariate Analysis

      巻: 178 ページ: 104627~104627

    • DOI

      10.1016/j.jmva.2020.104627

    • 査読あり
  • [雑誌論文] On error bounds for high-dimensional asymptotic distribution of L2-type test statistic for equality of means2020

    • 著者名/発表者名
      Hyodo Masashi、Nishiyama Takahiro、Pavlenko Tatjana
    • 雑誌名

      Statistics & Probability Letters

      巻: 157 ページ: 108637~108637

    • DOI

      10.1016/j.spl.2019.108637

    • 査読あり
  • [学会発表] Normalized transformation of Dempster type statistic in high-dimensional setting2020

    • 著者名/発表者名
      兵頭昌, 渡邉弘己, 中川重和
    • 学会等名
      日本計算機統計学会第34回大会
  • [学会発表] 楕円母集団から得られた2-step単調欠測データに基づく平均ベクトルの尤度比検定と検出力について2020

    • 著者名/発表者名
      米口貴誠, 首藤信通, 兵頭昌
    • 学会等名
      日本計算機統計学会第34回シンポジウム
  • [図書] R・Pythonによる 統計データ科学2020

    • 著者名/発表者名
      杉山 高一, 櫻井 哲朗, 土屋 高宏, 兵頭 昌, 中村 好宏, 川崎 玉恵, 伊谷 陽祐, 杉山 高聖, 藤越 康祝, 塚田 真一, 西山 貴弘, 首藤 信通, 村上 秀俊, 小椋 透, 竹田 裕一, 榎本 理恵
    • 総ページ数
      272
    • 出版者
      勉誠出版
    • ISBN
      458524011X

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公開日: 2021-12-27  

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