研究実績の概要 |
本研究では,臨床試験の効率化と迅速化を達成するために,3つの研究課題を設定している.本年度(最終年度)の各課題の研究実績の概要は次の通りである. 課題(1) 3群比較臨床試験と2段階臨床試験デザインのデータ解析法:2段階ランダム化デザインのもとで,潜在的なレスポンダーの存在を考慮して,治療効果を定義・推定する方法を提案した.得られた成果を国内学会(2022年9月)で口頭発表した.応答変数が事象時間データの場合について,2つの試験治療の対照治療に対する効果の大きさが異なる状況を想定して,複数の検定間の相関を考慮した試験デザインを構築した. 課題(2) 事象時間データを主解析とする臨床試験の試験期間とそのばらつきを評価する方法:本研究で得られた研究成果(Machida et al., Stat Med)を実装するためのWebアプリを作成した. 課題(3) 既存データを利用する臨床試験のデザインとデータ解析法:本研究で得られた研究成果(Ohigashi et al., Stat Methods Med Res)を拡張し,様々な縮小事前分布を用いた既存データの利用方法を提案した.得られた成果を国内学会(2022年5月)で口頭発表した.Dirichlet過程混合モデルによって既存データをクラスタリングする方法を提案した.得られた成果を国内学会(2023年4月)で口頭発表した.がんの2剤併用療法の第1相用量探索試験のもとで,単剤試験のデータを既存データとして利用する際に,新規データと既存データの不均一性が試験デザインの性能に与える影響を評価した.得られた成果を国際学会(2022年7月)で口頭発表した.研究成果は2023年3月に学術雑誌に採択された(Hashizume et al., Stat Biopharm Res).最後に,研究成果の整理と研究成果報告書の作成を行った.
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