研究課題/領域番号 |
20K11729
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
金子 敬一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20194904)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高信頼システム / ディペンダブルコンピューティング / 耐故障経路選択 / トーラス / メッシュ |
研究実績の概要 |
まず,トーラスにおいて,新たに求めた到達確率に加えて,メッセージの後退を禁止することに基づく,確率的耐リンク故障経路選択アルゴリズムの実現に成功した.次に,計算機実験により,開発したアルゴリズムの有用性を測定するための実験環境を拡張して,比較的小さなサイズのトーラスにおいて,予備実験を実施した.その結果,大規模なトーラスを対象に実験を行った際に,得られるデータを蓄積しつつ実験を実施するには,実験環境のうち,計算機を増強するとともに記憶装置への保存の方法をより整備することが必要であることが判明した.この問題点に対応するべく,新しい計算機を購入するとともに得られたデータを圧縮しつつ保存できるように,実験環境の改善を行った.その後,大規模な計算機実験を開始し,現在もこれを継続している.実験環境の改善および大規模計算機実験の実施と並行して,トーラスの特別な位相であり,2新トーラスとも呼ばれる,ハイパーキューブに対して直径を与える頂点間に,さらにリンクを付加して得られるフォールディッドハイパーキューブにおいて,ノード集合間に中間ノードを共有しない素な経路を構築するアルゴリズムを開発することにも成功したので,その成果をまとめて国際会議で発表した.また,ハイパーキューブを改良した位相であるバイキューブに関して,今まで未知であった最短経路選択アルゴリズムを開発することにも成功したため,これを実現するとともに,その成果をまとめ論文誌に投稿し,採録の結果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の国際会議が中止されたことによって,対外発表の件数に関して,予定していた数よりも減少している.しかしながら,トーラスにおけるメッセージの後退を禁止したアルゴリズムに新しい到達確率の概念を導入することに成功した.大規模実験を前に行った予備実験において,実験環境に改善の余地があることが判明したものの,これを実施し,実験を開始することができた.また,2進トーラスであるハイパーキューブを拡張した位相であるフォールディッドハイパーキューブにおいて,ノード集合間に素な経路を構築するアルゴリズムを開発することにも成功した.また,ハイパーキューブを改良した位相であるバイキューブにおける最短経路選択アルゴリズムを実現した.以上の点から,本研究はおおむね順調に進展していると判断したため.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2022年度では,まず前半に,大規模計算機実験を完了させ,そのデータをまとめて国際会議において発表する.次に,会議における意見交換や議論を基に,アルゴリズムの改良を試みて,再度,大規模実験を行う.その結果,得られたデータをまとめて,論文誌に投稿する.また,これと並行して,リンクの輻輳状況を示す関数の定式化を完成させる.2022年度の後半には,アルゴリズムの拡張性について検討し,その成果を対外発表に結び付ける.また,2021年度に得られた成果である,フォールディッドハイパーキューブにおけるノード集合間の素な経路選択アルゴリズムを実現し,計算機実験を行った後,データを取り纏めて,論文誌に投稿する.
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次年度使用額が生じた理由 |
複数の国際会議が中止になったことに伴い,旅費および参加費が発生しなかった.また,開催された国際会議でも,オンラインによる実施となったことにより,旅費が発生しなかった.以上から,2021年度は旅費が一切発生しなかった.生じた次年度使用額については,全額,国際会議参加のための旅費に充当する.
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