研究実績の概要 |
本応募課題では,インメモリ DB が稼動している仮想マシン (VM) を移送する方式について研究する.従来,独立性の高かったインメモリ DB レイヤと VM モニタレイヤのメ モリ管理を互いに協調させることによって総移送時間を達成する.結果として,VM 再配置によるメリットである負荷分散や消費電力削減といった恩恵をインメモリ DB が稼働する VM にもたらす.実ソフトウェアに対する提案方式の有効性を示すために,Linux および QEMU,memcached といった広く利用 されているソフトウェアに提案方式を組み込む.
今年度は前年度に作成したプロトタイプの洗練を行った.人工的なワークロードを一通り用意して,その挙動の詳細な把握および不具合のあぶり出しを実施した.また,実践的なワークロードを稼働させその有効性の検証を始めた.提案方式は Linux,KVM および Memcached 上に実装を進めている.提案方式は, VMM から OS,インメモリデータベースとそのソースコードが他レイヤにまたぐため,挙動の解析および不具体の修正に時間を要する.そのため,シンプルなワークロードを用意して挙動の詳細把握および不具合の修正を徹底的に行なった.読み込みオンリーなリクエストから始まり,書き込みの割合を増やしていき,その挙動を把握した.具体的には,GETオンリーなリクエストから始まり,そこからSETの割合を増やしていき,最終的にはSETオンリーなリクエストへと進めた.挙動を把握しただけでなく,多くの不具合(バグ)を除去することに成功した.また,実データセンターのリクエストを模した YCSB をセットアップし,実際にプロトタイプに適用し,現在はその挙動を詳細に把握しているところである.
|